縁切りの神様
忍び寄る不吉の予兆C
其処でピンときた京がにっこり笑って
「ふーん。そうどすかそうどすか。確かに…かいらしい(可愛い)お嬢はんでおますもんなぁ」
「へ…‥??」
そっと吉子に近付き、マジマジと彼女の全身を眺めたかと思うと
直ぐにわざとらしく宗貞に視線を戻しては
「やりなはるなぁ、宗貞はん。アンタも隅に置けんようになったどすなぁ」
京美人という言葉に相応しい、其の柔らかな美貌をこれでもかというくらい綻ばせてやったのだ。
そして、昔から女に奥手で関心さえ持とうとしなかった弟分の成長を祝ってやろうと思ったのだが。
「か、からかわないで下さいっ///それより‥わざわざ京都から此方へ出向かれたには何か訳があるんでしょう??いい加減用件を教えて下さっても宜しいのでは??」
真っ赤になった弟が早く用件を言え。と急かして来たので。
何てつれない弟分なのだろう。と心の中で面白可笑しく思った京はクスクス笑いながら
「ま、立ち話もなんどっしゃろ??せっかくどすから‥ご挨拶がてら家に上げておくんなまし」
などと切り返してやったのだ。
そう言われてしまったら最後。
昔から京に頭が上がらなかった宗貞は、非常に渋い表情を浮かべながらも
「……分かりました」
と、答えるしかなくなってしまうのだった。
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