縁切りの神様
もしも奇跡が存在するのならばF
其の一件から一ヶ月程経過したある日の事だった。
「…‥こんにちは」
「!!」
不意に背後から声を掛けられて。
境内の掃除に勤しんでいた宗貞は、振り向き様に映った相手の顔を見るなり
「あなたは‥‥っ!!」
と、珍しく声を震わせ動揺してしまったのだ。
だが、相手は滅多に見れない宗貞の焦った姿も意に介さず
「其の節は有難う御座いました」
と言って、深々頭を下げて来たのだ。
そんな、相変わらずマイペースな相手の態度を苦々しく思った宗貞であったが―――
「いいえ、此方こそ‥貴方の気持ちも考えずに随分とキツイ事を言ってしまいすみませんでした。藤堂さん」
正論だったとはいえ
あの時の、しょんぼりと肩を下げて其の場を去っていく藤堂の後姿がずっと脳裏に焼きついて離れず。
言い過ぎた感が否めなかった宗貞は多少なりとも罪悪感を抱いて日々を過ごして居たのだ。
だから、常々謝りたいとは思っていたのだが
「実はご報告がありまして」
「えっ‥‥…??」
急な訪問で戸惑っていた上に
妙に清々しい表情を見せる藤堂に違和感を覚えたので。
一体何だろうか。
と、疑問に思った瞬間―――
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