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縁切りの神様
決して叶う事の無い想いにB



こうして、親子三人水入らずで初めて朝食を共にした訳なのだが。



「……美味い!!」

と、父が大絶賛した様に。


「‥本当ですね」

偏食家である宗貞でさえも、卓越した料理の腕を持つ吉子の手料理の前では舌鼓を打つ事しか出来なくて。



父はともかく、見るからに神経質そうな兄の舌に合うかどうかとても心配していた吉子は嬉しそうに笑うと



「良かった‥お口に合わなかったらどうしようと心配でしたのよ??」

ふふふと

其れは其れは柔らかく、まさに地上へ舞い降りた天女を彷彿させる様な麗しい笑みを浮かべてみせたのだ。



そんな、腹違いの妹の無邪気な笑みにまたしてもドキッとさせられてしまった宗貞はというと。



「し、心配だなんて///寧ろ‥こんな美味しい料理を毎日食べられるなら―――」


最高に幸せです。




愛する女を前に普段滅多に口にしない褒め言葉をついうっかり滑らせてしまいそうになる程、彼は吉子にベタ惚れ状態だった。



其れでも

男手一つで育てられたせいか女性に対して妙に奥手な癖に馬鹿正直な宗貞の一言に父親である男は大いに驚き



「オイオイ宗貞。珍しいなぁ、お前が他人を褒めるなんて。其れとも‥そんなに儂の手料理は不味かったか??」

わはは、と声を上げて笑っては息子の気持ちも知らずにからかってやったのだ。


其れを無神経だな。と思う反面



「まぁ、お父様ったら。ご冗談ばかり‥」
「吉子よ、そんなに笑う事は無いだろう。儂だってこれでも真剣にだなぁ」


父が茶化してくれたお陰でぎこちない食卓も急に明るくなった様な気がして

気まずい気持ちを抱えたままだった宗貞も、一先ずホッとして食事に手を付けた。



其の最中も



「ホレ、宗貞。吉子の作った手料理なんだ、遠慮せずコレも食ったらどうだ??」
「父上!!か、勝手に人の皿に料理を乗せないで下さい///」
「嫌ですわお父様、そんな事をなさらずともおかわり出来る様少し余分に作ってありますから‥焦らずゆっくり食べて下さいませ」
「おぉ、すまんすまん。つい調子に乗ってしまったよ」


三人で丸く囲った食卓の中心で、実に愉しそうな様子で声を上げて笑う吉子の姿を見ると胸がギュッと締め付けられるように切なくなる。



こうして居ると、嫌でも彼女が自分の家族なのだという認めたくない現実を認めざるを得なくなってしまうから。


そして、朗らかに笑う彼女をチラチラ盗み見ていれば―――



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