不審な近親者(2)


「社長出勤だな〜。新一」



クラスメイトにからかわれ教室に入った新一は、適当に「ん」とだけあいさつをして椅子に腰を下ろした。



「いで!」
「?」

座ったとたん尻の中心から腰にかけて鋭い痛みが走り抜け、体が固まり動きが止まる。

「何、新一ちゃん痔ですか?」
「ちがうわい!!っつ・・・」

自分の声までも尻に響く。クソッ!それもこれもあの変態絶倫オヤジのせいだ。






週末は毎週のようにHを強制させられていたが、ここしばらく仕事が忙しいとかで2週間近く姿を現さなかった。その大河から久しぶりにメールが届いたのを見て、奈落の底へ一気に突き落とされたような最悪な気分に陥ったのはおとといの夜だった。


『明日18時に迎えをよこす』


そして嫌々迎えの車に乗ってマンションに行くと、2週間ぶりだからとか言ってさかりの付いた獣のように一日中SEXしまくった。次の日起きるともう昼で、仕方なく学校に行くのはあきらめて昼飯を食べると、疲れ切った体はまた睡眠を欲しがる。そして夜帰ってきた大河にまた抱かれて朝を迎え、起きようと思ったらまた襲われて・・・それが今朝の出来事。それでも学校に行きたい新一は、痛む体にむち打って3時間目になんとか学校にたどり着いたのだった。






初めてメールが来たときの恐怖は、今でも忘れない。

4,5年はその姿さえ見せなかった大河が、急に連絡を寄こしてきた。
教えてもいない自分のアドレスを何故知っていたのか。家とは絶縁状態のはずなのに、親がいなくなったとたん再び現れ、自分に何をするつもりなのだろうかと不安に陥った。
会うなんて絶対嫌だった。彼は普通の叔父さんではない。
だから当然のようにメールを無視したら、大河の会社の部下だと言う不審な人物が寮までやって来て「保護者代理です」とか「騒ぐとためになりませんよ」とか脅されて無理矢理車で連れ出された。


ほとんど人攫いの状態で連れて来られたマンションで再開した大河は、新一の記憶に残ったそのままの姿だった。


――――― 怖い人・・・ 自分を見る目が普通じゃない。


頭の先から足の先まで、値踏みするようにねっとりとした目で鑑賞する大河に新一はゾッとした。冬でもないのに、部屋の空気が凍ったように肌に突き刺さり鳥肌が立った。そして・・・


初めてのSEX。あれは強姦だった。
叔父さんは虎視眈々と俺を狙っていたのだと思う。


それ以来メールが来たらおとなしく送迎の車に乗るようになったのは、逆らえば手ひどい仕打ちが待っていることを、その身をもって教え込まれたからだ。
マンションではやることはSEX。それだけしかないので毎回気分は地獄の1丁目だった。



自分の身に起きた悪夢のような出来事によく精神が病まなかったと、今でもそれが不思議でならない。人間の適応能力ってすごいのかな。嫌なはずの行為も未熟な体は快感に弱く、頭では嫌だと叫んでも体は淫らな行為を簡単に受け入れてしまう。昨日だって「すき」じゃないのに、追い立てられると「すき」なんて言葉を平気で口にしてしまう。


叔父さんは怖い・・・


それは今でも変わらない。
でも一度抱かれてしまえば、それ以上の恐怖は襲ってこない。
従順にさえしていれば、体が壊れるほどの事はされないから。

小さい頃から体をいいように扱われて、もしかしたら叔父さんは性的な虐待を自分に強いるために、俺をかわいがるふりをして近づいていたんじゃないか・・・と思う不安はまさに的中した。

――――― 実の甥と交わりたい。

叔父さんは甥とSEXをするという不道徳極まりない欲望を叶えたのだから、犯された俺にしてみればそれを超える恐怖はもうあり得ないと思っている。そして甥の肉体を迷いなく求める叔父に、以前ほどの恐れを抱いていない自分に慣れって怖いな・・・と自分の神経もまともじゃなくなったと感じている。
この異常事態を結局受け入れてしまっている今を、日常としている俺って本当に人間として大丈夫なんだろうか。

いつかは叔父さんが自分に飽きてくれるだろう。
こんな関係は早く断ち切ってしまいたい。
叔父さんが別のいいものを見つけてそっちにのめり込んでくれないかなと、そればかり考えていた。






4時間目の体育は見学。

仕方がない。立ったり座ったりだけで痛む尻だ。大好きなバスケだって出来るはずがない。未だ尻は痛い。尻の周りはズキズキ痛みまるで熱を持ったようにうずきまくる。まさか・・・切れているんじゃないだろうか・・・そう思い見学の途中にトイレに行き恥ずかしながらもトイレットペーパーで尻の穴を軽く押さえてみたが、血は付かなかった。ペーパーが触れるだけでも尻の穴はチリチリと痛かった。

(な・・・情けない・・・・・・)

なんで自分はこんな惨めなことをやっているんだろう。ズボンをたくし上げ個室から出て手を洗い、鏡を見るとシャツの襟元にうっすらと虫に刺されたような痕が見える。



(ここならギリギリ見えねえだろ。俺は見せたいんだがな)

笑いながら今朝、ブチュブチュキスマークを付けまくっていた大河。新一を自分の物だと誇示するかのように、体のあちらこちらに所有の証を刻み込む。大の大人がまるで子どもがおもちゃを占有するような、そんな我がままに思えてならない。

体がきしむ。
「出張の間は2週間禁欲生活だった」とか、絶対嘘だろうけどそう言った大河は、その分を取り返すかのごとく好き勝手に新一の体を貪り尽くしたので、あちらこちらが悲鳴を発していた。一番痛いのは尻だけれど・・・




体育の次に大好きなランチタイム。学食でうどんを手に持ってテーブル席に座った新一を見た友人は、不思議そうに首をかしげた。

「新一ちゃん、今日はグロッキー?」

いつもは定食のご飯大盛りをペロリと食べる育ち盛りの新一が、うどん。しかもカレーうどんでも無く、天ぷらうどんでも無くただのすうどん。

「なんか・・・食欲なくて・・・」
「ひょっとして生理か?」
「うるせえ死ね・・・」

割り箸を割るとまっぷたつに割れず、片方だけ太く片方は極細という始末。七味をふりかけようとすると瓶の中味は空。友人が取ってきてくれた新しい七味をかけるとなぜか白い内蓋がとれて、ガバッと山のように七味がうどんにかかる・・・
以前激辛ネギラーメンを食べて腹をこわしたことを思い出す。あのときは消化しきれなかった辛み調味料が尻を燃やすような勢いで出てきて死ぬかと思った。下痢って怖い・・・
それを思い出し、今これを食べて下痢をしたら、ただでさえ腫れまくっている尻の穴が・・・・爆発するかも・・・・

朝はもちろん食べていない。うどんは頼んだけれど元々食欲もなかった。そして過去の悲惨な経験。新一はげっそりして箸さえ付けていないうどんを返却口に片づけた。

今日は最悪だ・・・いや、今に始まったことじゃないけれど・・・

友人に心配されたが「放っておいてくれ」とフラフラしながら食堂を出た。




頭が痛い、体がきしんで何だか熱い。尻は相変わらず痛い。
今までもっとひどく抱かれたことはあるが、昨日と今朝は続けて犯られまくっただけあって・・・・・・・・
それに朝エッチの経験はあっても、その後登校したのは今回が初めてだったので、きっと無理をしたのが悪かったのだろう。大河が言ったように休めばよかったのだけれど、病気でもないのに学校を休むことはまじめな新一には後ろめたいのだ。



「きっつい・・・・」

せめて朝のエッチが無ければ、ここまで引きずることは無かったと思う。

無理矢理犯されてから丁度1年。
体はSEXに十分慣れきっているというのに。
大河の求め方は衰えるどころか、その勢いを増すばかりだ。

叔父さんって確かもう40代だよな・・・42歳だったかな・・・・

40代は男盛りと言が、それは仕事面でのことであって肉体的には衰え初めてもいいのではないか?
17歳の新一が音を上げるほどの尽きない性欲に、毎回これでは若いこちらの身の方がもたない。廊下を歩く新一の目はもううつろだった。

今日は寮に帰って寝よう。とにかく体を休めよう。しばらく出張はないって言っていたから、今度のSEXは週末だろうし。

今日は火曜。SEXは最短として金曜だとしてもあと3日後。その間に尻の痛みも和らぐだろう。痛いと言っても大河はどうせ突っ込む。それでもこの3日間は貴重だ。大事に使わなければならない。




頭痛に目をギュッと閉じ、こめかみを手で押さえながら廊下を歩き、昼休みは保健室で寝かせてもらおうと思い廊下をトボトボ目的地を目指していると、グラウンドでサッカーをしている様子が目に映った。


(俺もやりてえ・・・・・)


でも痛い・・・
腰に手を当てて、この痛みを与える憎き相手を思い浮かべ再び歩き出したとき、ガシャーンという堅い音が頭に響いた。
同時に左の頭の付近がカッと熱くなって、ガツンと衝撃が頭部に響きサッカーボールが見えたような気がしたけれど、もう目を開けていられなくなって視界は急に狭くなり、新一の意識はそこでプツリと途切れた。

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