青春真っ盛りなんだけど(6) ※


夜10時過ぎ。
寮に戻った新一は、寮監に宿泊の取り止めを伝えてから部屋に戻った。



帰りの車中、急な用事でもできたのかと伊勢崎に訪ねてみたけれど、何も答えてはくれなかった。
いつもと変わらない週末SEXのはずがやったのは自慰行為で、叔父さんは一度の挿入さえしなかった。別にSEXをしたかったわけじゃないけれど、途中で止めた事など未だかつてないので帰された理由を考えてしまうのだ。SEXに興じすぎて仕事を休んだり、予定を変更したりするのが当たり前のワンマン社長?が、イかず抜かずで自分を解放したことが不思議でならない。
かえって・・・不気味だ。何か良からぬことを考えているんじゃないだろうかと身構えてしまう。上機嫌で自慰を眺めていたはずなのに、どうして急に機嫌が悪くなったのだろう。


(叔父さんがイケって言うから、あんな恥ずかしい事までしたのに)


忠実に従った結果がこれだ。
一体何が気に喰わないのだろう。
気に障るような事でもしたのか言ったのか。

(別にないけどなぁ・・・多分・・・)

思い当たることは一つもない。
新一は命令されるままにオナニーに没頭したのだから。

(へたくそだったから、気分を害した・・・とか?)

途中から自分でも抑えがきかなくなって、無我夢中でマスを掻きまくったが、その辺の事をよく覚えていない。何やら喘いで口走ったこともあやふやだった。
上手くできたとは思ってはいないが、オナニーの出来で腹を立てられても困る。
大河の考えていることはいつも分からない。急に怒ったり、甘やかしたり自分勝手が服を着て歩いているそんな人間だ。
そんな大河が、新一をSEXドールとしか思っていないような大河が・・・SEXをしない?

(それって、もしかして・・・・・・・もしかして、俺にあきたってことかな・・・・・・。本当に?・・・・・・・・・うそ、マジで!)

眉間に寄せていたしわが薄れ、緩んだ表情の新一の唇が少し上向きにんまりと笑った。



新一は叔父の変容に不安を覚えたが、その後に芽吹いたわずかな期待に胸が躍った。暗かった心に一筋の光が差し込んだかのようにさえ思えた。


大河の自分に対する興味が失せて来ているかもしれないと言う期待に。




それにしても、今回はいろいろとまずかった。
アレの量が少ないとか味が薄いとか言われて、挙句の果てに強制された自慰行為では、早くイキたくてとんでもないことを頭の中で想像し・・・思い出すのが恥ずかしいような卑猥な言葉を口走ったような・・・・気がする。

(うわ・・・・げっ!思い出すな自分!!)

“早く”とか“抱いて“とか”“叔父さんじゃなきゃ・・・“とか・・・小1時間前に口走った言葉が脳内でリプレイし始めた。よくもまあ切羽詰まっていたとはいえ、AV女優と同じようなセリフを喘ぎまくったものだ。もう憤死しそう。

(は・・・恥ずかしすぎる)

自慰の最中。あれは普通の状態じゃなかった。今なら“抱いて”とか絶対思わない。言うわけがない。とにかく今回はいろいろと予想外な事ばかりが起きすぎた。肉体よりも精神的に疲れを感じるSE・・いや、オナニーだった。
静かな寮の廊下で卑猥な事を思い出し百面相をしていた新一は、周りを見回し人が居ないことに安堵し、煩悩を振り払いながら部屋に戻った。






「あれ新一?どうした。今日泊まりじゃ」
「・・・中止になった」
「へえ。珍しいな」

ソファーでゲームをしていた拓斗は、それをやめて通り過ぎる新一の腕を掴み、立ち上がって新一の首筋に顔を近づけるとクンクンと臭いをかぎ始めた。首筋に拓斗の鼻息がかかると、新一はそれがむずがゆくて首をすくませ、その顔から嫌がるように離れた。

「何だよ」

「ふーん。やることはやって来たんだ」
「はあ?」

「SEX。犯ったんだろ、例の大人の彼氏と」
「・・・・・」

無視を決め込む不機嫌な表情を面白そうに見ながら、拓斗はからかうように言った。


拓斗にはおととい無理やりSEXに持ち込まれはしたが、表面上至って事を荒立てずに過ごせているのは、新一自身が犯されたことに対してそう悲観していなかったからだ。ショックじゃないわけではない。友達にいきなり犯されたら喜怒哀楽の中間部分の感情が爆発して当然だ。
しかし喜ぶべきか、悔やむべきか、新一の強姦被害は堂に入っている。大河のレイプと比べれば拓斗とのSEXなどは虫に刺されたようなものだ。体を犯されたというよりは、信じていた心を犯されたと感じていた。相手が友達でなかったら、ただの顔見知り程度の人間だったらもっと心の傷は浅かったかもしれない。

ただ、被害の結果はどうであれ、やっぱり友人とSEXは間違いだったと新一は思う。
犯られてメソメソするのはしゃくに合わないし、そんな弱みを拓斗に見せるのもムカつく。だからアレは無かった事として、普通に過ごそうと考えたのだ。ただし行為自体を許したわけではないし、普通とは言っても必要な事以外は一切口を利かない。
新一は拓斗を無視することで、怒っていることをアピール出来ていると思っていた。




「新一の体、いいにおいがしたから。向こうでシャワー浴びたんだろ。いつもその香りさせて帰って来るもんな。それってHしましたって言ってるようなもんだぜ」

言われたことにドキリとし、拓斗の腕を乱暴に振り払った。叔父さんとしてきたことを何もかも見透かされたような気がして、それがとても不愉快だった。

「首、付いてるぜ」
「え・・・」

キスマーク!まさか。
咄嗟に首筋に手を這わせたが、そんな新一の慌てる様子を見て拓斗はゲラゲラと笑い出した。

「はははは!嘘だって、付いてねえって」

「お、お前・・・・」

引っかけられた。
新一の慌てた反応は、拓斗が示唆した大人の彼とのSEXを肯定したことになる。

「あーおもしれえ。何でそんなにうろたえんの?今更隠すことじゃないだろ」

拓斗は新一に近づきながら、またとんでもないことをしゃべり出した。

「週末は外でSEX。で、水曜は俺とSEX。そう決めたよな」
「だ、誰が!それはお前が勝手に、」
「なあ、せっかく帰って来たんだから、今から犯ろうぜ」
「・・・・・・・おま・・・何言って、」

拓斗の手が伸びて来て、新一が肩にかけていたカバンを奪い取りソファーに投げつけた。その強引さに驚いた時にはもう腰にタックルされて、ベッドに2人一緒に飛び込む形でダイブしていた。



ドサッ!!



「いっ・・・う・・・・・・・」



タックルをかましてきた拓斗の下敷きになった新一は、背中と後頭部をベッドに激しく打ち付けた。いくら柔らかい布団でも、この勢いで押し倒されたら目の奥で星がチカチカと点滅する。

「た・・・たく・・・・てめ・・・・」

「勝手に襲うって言ったじゃん。忘れてたか?」

痛む後頭部を擦る左の手首を掴み上げられて、またもや紐で結ばれベッドにくくりつけられる。

「お前・・また、バカ。ふざけんな解けって」
「新一だって本当はSEXしたいんじゃねえの?」
「そんなわけあるか!」
「本当なら、今頃彼氏とHの真っ最中のはずだったんだもんな。なあ、いつもどんなことされてんだ?言ってみろよ」

自由になるもう片方の手で拓斗の体を押し上げるが、下からの力ではあがいても簡単に押さえつけられてしまう。腰の上にまたがった拓斗は、新一の自由になる右手を押さえつけてシャツを首まで引き上げた。

「今日はどこにもキスマーク付いてないんだ。じゃ、俺が付けても構わないよな」
「んなことあるか!そんなもん絶対、」
「大丈夫。そんなにはっきりは付けないから。バレたら洒落になんねえもんな」

次の週末までには消えるくらいに上手く付けてやるなどと言って、胸に唇を落とし吸い付き始めた。
暖かく滑った感触の後、チリッとした鋭い痛みが肌を焼いた。

「っ・・うぁ・・・やめ・・そんなことすん・・・・な・・あぁ」

「ああ、そっか。新一は猛烈に乳首で感じるんだったよな。ここにもいっぱい付けてやるよ」

チュルッと乳首を吸い上げて、口の中でその先をチロチロと舐めまわす。突起部分はとがった舌で、乳首のくびれは歯で甘噛みし、その周りは唇がギュッと吸い上げる。同じ場所をそれぞれ違った刺激が襲い、そこから広がる快感が下半身にも伝わっていく。

「あ・・やだって・・・。も、たくとぉ・・・」
「気持ちいいだろ・・・だからさぁ新一、もっと気持ちいいことしようぜ」

「やだ、だめ俺・・」
「そいつに操立ててないて言ったよな。なら俺といくらSEXしたってかまわないだろ」

拓斗は新一のベルトを引き抜き、下着ごと一気にズボンを脱がせた。晒された下半身のペニスに触れると新一の体はビクリと跳ね、拓斗の手の中の新一もピクッと反応した。


「すげえ、赤くなってる・・・・・・新一。いつもこんなにかわいがってもらってんのか?」


新一のペニスは竿の側面が少し赤く擦れた感じになっていた。それは自分でオナニーをした結果だった。でもそんなことは言いたくなかったし、わざわざ自慰をしたなど教えることでもなかった。

「なら、後ろも結構いい具合にかわいがってもらって、どんな色になってんのかな」
「な!さわんな!よせ、拓斗」


「ん?」



拓斗の「ん?」と漏らした声の意味は分かる。ペニスはあれだけ使い込んだ痕があるというのに、拓斗が指でなぞった後孔はキュッと固く窄まったままだったからだ。

熟れたペニスに硬い蕾。
それがまた拓斗の興味を掻きたてた。

「もしかして挿入なしのプレイ?何だよそれ、ありえないだろ。新一相手に挿れないとか。もしかして相手・・・・・勃たねえとか?」
「知るかそんなこと!」

(叔父さんが聞いたらぶち殺されそうなセリフだ。勃たないどころか・・・一日中でも俺の中に突っ込んでおっ勃てていそうな勢いだよ!)

「後ろで犯ってねえなら疼いてしょうがないんじゃねえの?俺が気持ちよくしてやるよ。この前みたいに」
「やだ!もう拓斗とはこんなことしない。したくない!」

「そんなこと言って。新一もイイ声出してたじゃん。いっぱい感じてたじゃんかよ」
「言うな!」

「新一の体は正直なんだよ。俺に突かれてイキそうになったよな」

自分の指を舐めた拓斗は、新一の硬い穴の窄まりにツプンと指を刺し込んだ。

「いっ・・・」
「大丈夫。すぐ良くなるから、知ってるだろ」
「そ・・・んな・・・・・だめだ。指ぬ・・け、あ、ぁぁぁあ」

2本目の指が刺し込まれグニュッと中を掻きまわし始めた。

「あ、ん・・・・や」

「やっぱ熱いな新一の中は。ああ〜ここ蕩けるんだよな・・・早く入りてえ」

「っ・・・ぁぁ!」

まだそんなにほぐし切っていない穴から乱暴に指を引き抜いた拓斗は、ジャージのズボンをずらし、自分の硬く反ったペニスを出した。

早く新一の中に挿れたい。
この前みたいに溶けるような熱さの中で、いっぱい擦って突きあげて、ギュウギュウに締め付けるアナルで何度でもイキたい。新一の腹の中に、体に、そしてあのかわいく喘ぐ顔にブチまけたい。



そんな妄想を駆け廻らせながら、拓斗は呼吸を乱しながら雄を軽くしごく。





ピピピピ・・・




突然鳴った携帯の音。
だが行為に夢中な拓斗はそれを無視して、自分の猛ったペニスを更に扱き続けた。



ピピピピピ・・・・・ピピピピピ・・・ピピピ・・・・・・



「ああ!ったく、うるせえ。何回鳴らす気だ」


音は新一の鞄の中からだ。
1分以上経っても鳴りやまない電話の音にイライラした拓斗は舌打ちしてベッドを下りた。新一は拓斗が離れたすきに、左手を拘束する紐をほどこうと試みたが、固く結ばれた紐はなかなか外れない。
拓斗が携帯の着信を切ってソファーに投げ捨てると、すぐさままた音が鳴った。そしていつまでも呼び出し音が鳴り続ける。

「しつけえな。誰だよ!」

捨てた携帯を拾い画面を見ると表示されてあったのは、

――― 「門倉T」

新一の「門倉(かどくら)」という名字にプラス「T」と書かれた文字。これはどうやら新一の家族からの電話らしかった。もう11時になるというのに、こんなにしつこくかけて来ると言うことは急用だろうか。親元を離れて寮に居ると、この時間に長く鳴らすコールは緊急の連絡ではないかと、寮生であれば多くの者がそう感じてしまうところだ。

「新一、家族からだ。出るか?・・・俺はその間もうちょっと新一のイイとこ擦っててやるから、話早く終わらせろよ」

「・・・・お前こんな時に・・・そんなふざけたこと、」


再び覆いかぶさって来た拓斗から手渡された鳴り続ける携帯電話。

そこに表示された名前を見て・・・・・・・・・・新一は息が止まった。

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あきゅろす。
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