覚めない悪夢 ※
一度イかされたあと、やっと拘束されていた腕を解かれた。
肩の関節が痛みでギチギチいっているけど、もうだるくて指の一本さえ動かしたくなかった。初めから抵抗しないという約束だったから縛る必要なんて無かったのに、ただの趣味で縛られたんだった。
行為は終わったと思っていたのに、また四つん這いにさせられて後ろから突っ込まれた。アナルに挿入されるたびにペニスもいじられ、後ろを開かれる痛みと前を高められる快感を同時に与えられ、なさけないことに俺はまたイッた。
正常位、次にバック、そして今度は横抱きにして足を片方抱え上げて背後から貫かれた。一体いつになったら終わるんだ・・・
何度イかされたのか、あいつも何度イッんだ・・・・・・・分からないくらい交わって、後孔は腫れて擦れて痛くて、どうなっているのか確かめるのも怖い。切れて出血でもしてるんじゃないだろうか。
とにかくもう離してほしかった。SEXなんてこりごりだ。気持ちいいのは・・・・否定できないけど、体力の限界はすでに超えていた。自分の方が若いのに、仁のこのバカみたいな体力って何なんだ!!
「夕輝・・・いくらでもイかせてやるって言っただろう」
「うぅ・・・・ああぁああ」
またイッた・・・・・・・・・・・・・・・・・・けど・・・
夕輝のペニスは痙攣するように小刻みに震えるが、鈴口からは蜜が薄っすらにじむだけで何も出なかった。空イキは少しの快感と放出できなかった射精感が体に残り、鬱積した気だるさを与える。
目も開きたくない。
もう・・・好きにすればいい・・・・・
仁は行為を止めない。
いつまで続くかわからない淫情の時間に、地の底に落ちて行くようだった。
重いまぶたを開けると、部屋は薄暗くなっていた。
高い天井を見てすぐにここがホテルだったことを思い出し、同時に悲惨なSEXの記憶も甦った。
「く・・そっ・・・」
ベッドの上に寝ている自分は、シーツを掛けられた状態で、そばに仁の気配は感じられなかった。起き上がろうとしていつものように体を起こすと下半身に突き抜けるような痛みが走る。
「いっ・・・つ・・・・あの・・やろう・・・・」
初めてのアナルセックスだというのに、アレだけ何度も突っ込まれたら体は頑丈な方だと思っていた夕輝も、さすがにどこか壊れたんじゃないかと自分の身が心配になる。何とか上半身だけ起こすとシーツがめくれ、腹の上に残滓の痕が乾いてこびりついている。両手首は締められたうっ血と、無理に引っ張って皮膚がこすれた痕も残っていた。目を覆いたくなるような光景に目をそらすと、ベッドのサイドテーブルにメモと夕輝の携帯電話が置かれてあることに気がついた。
メモの文面を見てすぐに破り捨ててやった。
『思っていたとおり素晴らしかった。前に撮った画像は約束どおり消去した。部屋は明日の午前11時までは使える。好きなだけ休んでいけばいい。ルームサービスも自由に使ってかまわない。
携帯にプレゼントを贈ってある。開けてみろ。きっと喜ぶ』
破ったメモを丸めて足元に投げ捨ててやった。
何が・・・素晴らしかっただ!!あのクソエロ親父が!!しつこくさかりやがって。
怒り心頭で携帯に目をやると、メール受信のマークが点滅していた。そういえばメモにプレゼントがどうとかって・・・
嫌な予感しかしない。この間もあいつからのメールを開けて卒倒しそうになったから。
パタン
携帯を開いて受信ボタンを押す・・・
「な・・・・・・・・・・・・・・」
嫌な予感は当たる。
画面に写るのは、絡み合う男と男の情事の姿。
夕輝は意識が無いのか目を閉じてぐったりしている。その足の間に割って入りアナルに突っ込む男は下半身だけが写っている。おそらくベッドサイドのテーブルに携帯を固定してタイマーで撮影したのだろう。
「画像は・・・消したって・・・あいつ・・・なにがきっと・・・喜ぶだ!!!」
前の画像は消したが、また新しい画像で脅そうという算段なのか。なんて卑怯な。あいつは初めから一度きりのSEXにするつもりは無かったんだ。やり方が汚い。なんのために俺はあんな奴に・・・
画像の下に続く文章にさらにこめかみに血管が浮かび上がる。
『来週の土曜。同じ時間にまたここで。楽しみにしている』
あんのやろううぅうう・・・・
「っつ・・・・・」
怒りに力むと下半身に鋭い痛みが走り、あの屈辱的な記憶を脳裏によみがえらせた。
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