何かを忘れていませんか
090861・・・・


090はろーいい・・ってこの番号誰だったっけ?



10件は暗記している電話番号に当てはまらない番号なので、知り合いではない。じゃあ間違いかワンギリなのか。でも見たことあるこの番ご・・・・




「あーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


画面を見て大声で叫ぶ僕に、何だ?と先輩は画面をのぞいてくる。
バイブが鳴り続けているのに画面だけを見て固まる僕に出ないのか?と聞いてくる。


出ないといけない。
でも、出られない。

鳴り続ける電話に、今何時と先輩に訪ねる。

「11時40分」
「うっそーーーーやばい・・・」

携帯を凝視する。
この番号。
鷹耶さんの会社の部下の人だ・・・・・




一昨日、帰国が決まった鷹耶が迎えに来るのに会社の人を寄こすと言っていた。
そして昨日、明日の11時にお迎えに上がりますと、携帯で連絡をもらっていたのだ。この番号はその部下の人の番号だった気がする。

11時にお迎えなのに、今11時40分ってどういうこと!



完全に・・・・忘れてたーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!


鳴り止まない電話に、このまま出ないわけにはいかないので、腹をくくって通話ボタンを押す。
すると「あっ」と向こうから声がした。

「朝川様ですか!!」
あ〜まずい、かなり焦ってる、怒ってる?そりゃあそうだよな。

「・・・はい。」
「よかった、朝から何度も連絡していたんです」
「、、ですよね・・・すいません」

アパートの前で待っているけど、電話はつながらないし、呼び鈴を押しても出てこないし心配していたんですと、部下の人は何故か半泣き状態の声で訴えている。
急げば今からでも出迎えに間に合うかも知れないから、早く準備して出てきてくださいと嘆願されたが。

「あの、実は」
「はい!」
「今、アパートじゃなくて・・・」
「?」
「ちょっと出かけてて・・・」
「な!」

部下の人がこれ以上ないほどうろたえている。


「お迎え・・・パスってことできませんかね」
「むりっ!無理ですそんな恐ろしいこと!!幹部から絶対お連れしろと言いつかっておりますし。来て頂かないと困ります!!」

大人がこうもうろたえるなんて、上司の命令ってそんなに絶対的なものなのかな。
パスは、、、無理か。そうだよな、大体約束を破ったら鷹耶が怖い。
もう約束を忘れてお迎えに間に合わない時点でアウトかもしれないけど。

「あ、あの、飛行機って何時に着くんですか」
「13時です!」

アパートに帰ってからでは到底間に合わない、ここから急いで電車で・・・

「帰ったら間に合わないから、僕ここから電車で行ってみます」
「今何処なんですか」
「し、しぶや・・・」
「どうしてそんなところに」
「はい、、、すいません」

電話を切って先輩に親戚の迎えに行かないといけないからと、適当に事情を話して別れようとすると、友成さんからちょっと待てと止められた。

誰かと電話をしていた友成さんが、
「すぐに大樹が来るから、大通りまで出よう」
と、僕たちを急がせた。


言われて大通りまで出て、10分くらい待っていると向こうからオートバイが近づいてきて僕達の目の前で止まった。

YAMAHAのドラッグスター400に乗って颯爽と現れたのは、朝僕たちが出かけるときまだソファーで寝ころんでいた大樹さんだった。

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あきゅろす。
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