いいえ、静です
着地したところを別の男に足をつかまれバランスを崩してよろける。


上から覆い被さるように両肩を押さえ込まれるが相手のみぞおちを膝で思いっきり蹴り上げる。
ぐふっ、、とうなり男は静に覆い被さるようにして気絶した。



「ぐえっ、重い、こいつ、どけってば」

うんうん言いながら自分の上に倒れている男をどかそうとするが体格差のある重たい男はびくともしない。
もがいているうちに急に体が軽くなった。

ドサッ。男が静の体の上からはぎ取られた。


「大丈夫ですか」

先ほどやられていた男が静の前に立っていた。


「あ、、ども、ありがと」

起きあがって背中に着いた砂やほこりをはたき落とす。

「そっ、そんな、助けてもらったのは俺の方で、その、しず姫、ありがとうございます」

体が痛いだろうに、男は90度に体を曲げてピシッと礼をする。


「怪我」

「え?」

「いや、、痛そうだな〜って」

「ああ、こんなの、大丈夫っすよ」

いや〜これは痛いでしょう。
それともがたいがいい人ってそんなに痛みを感じないのかな?


「そうだ、あんたって、エンペラー関係者ですか?」

「はい。あ、おれケンタって言います。しず姫」

「そっか、でもなんで僕のこと知ってたのですか?」

「そりゃあ、エンペラーでしず姫知らない奴はいませんよ」

「はぁ?」

「まあ、俺みたいな下っ端は幹部とかしず姫たちには近づけませんけど」

幹部?ああ、そう言えば天馬先輩とか幹部だとか言ってたな〜。

静はエンペラーに属してはいるが、基本自分から進んで行くことはない。
天馬や拓也たちから誘われたときしかエンペラーには近づかない。
エンペラーが好きなわけではなく、エンペラーにいる先輩達が好きなだけだから。


「うわ〜俺自慢できます。しず姫あんまり集会とか来ないじゃないですか。だから、レアなんですよ」

「あのさ、その呼び方やめてくんないですか」

「なんでですか、それに俺たちその呼び方しか知りませんし」


「静です」

「静さんって言うんですか!!」

ケンタは顔を紅潮させて喜んだ。
静さんだからしず姫か〜なるほど。
でも自分だけそんな呼び方したら周りや幹部にボコられます〜とわめいていた。


「ケンタ・・さん」

「あ、俺呼び捨てでいいですから」

「いや、どう見てもあんた年上でしょうし」

「しず姫っていくつですか」

「・・・・15」

「はあああ====」

ケンタはどんどんヒートアップしていく。
かわいい!!15才であの強さすんげえ===さすがエンペラーの守り神!!萌えだ!萌えっ!!!


なんとなくバカにされているような気がしなくもないが、あと数ヶ月で16才だからそっちでインプットしてと訂正するのもはばかられた。
萌えってなんだ?



時刻は気づけば8時過ぎ。
集会は8時から。

すっかり暮れた町はネオンが光り、町は夜の姿にすっかり変化していた。

ケンタも歩けるようなので、歩調をゆるめ2人は集会に向かった。

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あきゅろす。
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