サイズの問題か?
怒ってがばっと飛び起きる。


そそくさとベッドから降りて鷹耶を見下ろす。

「じゃあ、鷹兄があっちで寝ればいいじゃん」

「キングサイズだから余裕だが」

「ベッドの大きさの問題じゃないの」

「なにが不満なんだ」

「不満とか、じゃなくて」

「嫌だったのか」

「嫌とか、どうとか」

嫌といえば嫌ですが、あれ?なんかこの話昨日もしたような?


「ああ、もういいから、次はこんなことしないで」

「分かった。では次はいつにしようか」


 ・・・・・・。


あっけにとられてあんぐり口をばかみたいに開ける僕を、片肘を突いて優雅にベッドに寝たままの鷹兄がにやっと口の端を上げて見上げる。


「次は少し遠くまで足を伸ばしてみるか。箱根辺りにいいところが・・」

「行きませんから」

「楽しみだな」

「それは、あれです、言葉のあやといいますか・・」

 ごにょごにょ・・・鷹兄、あなたやっぱり性格悪いです。
いい訳もできずにごにょごにょ言っていると更に追い打ちをかけられた。

「静、ワンペナルティーな」

「なにそれ」

言ってる意味が分からずに首をかしげる。

「さっき言った」

「ん?何を」

僕なにか変なこと言ったか?真剣に考えるが思い当たる言葉がない。

「鷹兄」

「うげっ、」

そんなこと言いましたっけ?”鷹耶さん”ととぼけて言って見せたが、

「じゃあ、鷹兄があっちで寝ればいいじゃん・・・と」

はいはいはいはい。
その通りです。
僕は確かに言いましたね〜鷹兄いや、鷹耶さん。
その無駄な記憶力の良さ嫌味ですか。おそらく一言一句間違ってませんよ。
さすがですね===あ===むかつく!!!


「鷹耶と呼べと言ったよな」




「そうでしたね」

「鷹兄なんて、もう子どもじゃあないんだろ静?」

は、ははは、、、もう今日は負けで言いから、その言葉やめてくんない?

勝ち誇ったようにくっくと笑う鷹耶。

もう絶対泊まらないんだからと心に誓う静。


鷹耶は言ったことは必ず実行するから、何らかの形でペナルティーを課してくるだろう。
ああ、気が重い。
優しいけど時に意地の悪い悪魔に豹変するこの人とうまく距離を置いてつきあう方法を考えよう。
うん、そうしよう。いいところもあるし。


小さい頃から世話を焼いてくれた恩?のようなものもあり、過剰スキンシップをはっきりと突き放せない自分に気づきながらも、ま、いっか、とお気楽に考えてしまう静。

そんなふうに深く考えない静の性格を把握しきっている鷹耶の手のひらの上で踊らされていることには全く気が付いていない静だった。

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