初!お泊り(2)
「静が飲酒運転はだめだと言ったんだろう」
「そ、それって、言ったけど、でも、おかしいじゃん、、」
自分でも何を言っているか分からず、しどろもどろになる。泊まるってなんで?どういうこと?
「静は嫌なのか?」
鷹耶に見下ろされ、真摯な目で見つめられる。
嫌といえば、そうですねできれば帰りたいですと言いたいが、鷹兄ってそのじっと見つめるのやめてほしい。
この無言の時間苦手なんだよ。
「食事だけじゃなくて、もっと静と一緒の時間を過ごしたい」
とろけるような優しい声で鷹耶は語りかける。
つかまれていた手に更に力が入る。
握り返せずにいると、僕の手を鷹耶は自分の口元に運び、僕の指先にゆっくり口づけをした。
なななんあ、、、なんですと==なにごと==!!
た、鷹、鷹兄!飲み過ぎでは?酔っぱらいか?
僕は飛び上がった。肩がビクッとあがり、その震えは鷹耶に伝わったはずだ。
目を見開いて鷹耶を見る。僕の顔はおそらくゆでだこのように真っ赤になっているだろう。
「嫌なのか?」
再び鷹耶が訪ねる。
「い、嫌とかじゃあなくて、その、あの、、」
パッと視線をそらして目を泳がせる。
「き、急に、泊まるとか言うから」
びっくりした・・・と付け加えると鷹耶は僕の頬を優しく包んだ。
「お前と一夜を過ごしたかった」
ななんあななあっs@p・・・
「な、、、なに言ってんの鷹兄!!!い、い、いち、、一 夜っ?」
完全にうろたえて額に汗が流れる。
一夜って、そんな言葉今ここで使うか?って、それどういう意味さ・??
するとうろたえる僕を見て鷹耶不適な笑みで僕を見据えた。
なんだ、この恐ろしい笑みは!・・・
悪魔のような笑みを見せた鷹耶に静は射すくめられてその場から動けなくなった。
「なんて顔してる」
固まった僕を見て、鷹耶は僕の頭をクシャッと鷲ずかみし、優しく撫でた。
「たまにはゆっくり話がしたいんだ。お前もつきあえ」
そう言ってスーツとベストを脱ぎ捨て、カウンターのイスにかけ、グッと襟に指をかけネクタイをはずした。
「学校の様子や最近の生活のことなど、聞きたいことはたくさんある。いろいろ話して聞かせてくれ」
さっきの悪魔の笑みが消え、いつの間にか優しい表情に戻った鷹耶に少し安堵する。
「そっか、話か、、ゆっくり話がしたかったのか。。。」さっきまでの緊張がゆるんでくる。自分の勘違いでよかった・・・ほんと、よかった。。
変なことを想像してしまった自分が恥ずかしい。
でも誤解を生むような言い方をする鷹耶も悪い。
泊まることもいきなりの話でそれもパニックの原因だ。
「あ、うん。」
気が抜けて、やっとの事で返事を返す。
「眠くなったらやっかいだ。先に風呂に入ろう」
バスルームは2つあり、静が案内された方には、シルクのパジャマや下着がすでにかごの中に準備されていた。
スイートルームって至れりつくせりだな〜と妙に感心した。
服はクリーニングに出せば明日の朝にはプレスされて準備してくれることにも感動した。
広くて円形の風呂には湯が張られており、温かいお湯に浸かりながら、付属のボタンを押しジャグジーに感激したり、泡だらけにした浴槽で潜って遊んでみたりと、初めての贅沢な風呂を満喫した。
もう一つのバスルームに入っていた鷹耶はすでに上がっており、いつまで入って居るんだ、溶けるぞと、ドアの向こうからムッとした声が聞こえてきたのであわてて泡を洗い落とし体を拭いて着替えた。
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