きみのとなり かわるうんめい やわらかくて温かい……ここは…どこ? 何も見えない何も触れない。真っ暗い闇。 でも不思議と怖くないんだ、なんだか優しい感じがする。 僕と同じ黒なのに、僕もできればそんな黒になりたかった…。 急に声がした、頭の中に直接響くような声。 「…そなたにはまだ、やり残したことがある。ここにくるには、ちと早い。」 凛とした声。 まだ早い…?やり残したこと……? 僕にはわからない。 「命の運命を変えるのは本当はしてはいけないのだが……まぁ、よい。特別だ。」 次の瞬間、意識がまた飛んだ。 ぼうっとまどろむ頭の中に、さっきとは違う優しい声が微かに聞こえた。 なぜかはわからないけど、僕を呼んでいる気がした。 そんなことはありえないだろうけど、呼ばれた気がした。 実際に感じる温かさは何の温もり…? 僕を呼ぶのは誰…? ねぇ、僕は生きてもいいの? 眩しさに目を細めながらゆっくり瞼をあげる。 そこはダンボールの中でもなくお外でもなく、飼い主さんがいたお家のような場所。 辺りを見回した。 知らないものばかり。 なんだか小さく見えるのは気のせいなのかな? カランッ…― 後ろからした物音に振り向くとそこには知らない人が立っていた。 床にはお皿みたいなものが転がっている。 その人は目を見開いて僕を見たまま固まってしまっていた。 「ク……クロハ…?」 彼は僕を見つめながらそう言った。 . [*前へ][次へ#] |