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きみのとなり
それはもうておくれな







「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」


「お皿はいいけど、クロハ怪我してない?」


「ごめっ、なさいっ…!」


「…ク、クロハ……?」


「ごめ、なさっ…」


「どうし」


「ごめんなさいっ!!」




不思議と涙は出なかった。
心は引き裂かれそうなほど痛かったけど。




「………クロハ、」


「ごめんなさい……、」




困惑した表情の翔さんは、そっと僕の頭へと手を伸ばした。
いつものように優しく撫でてくれる………、それはいつになく怖かった。


キモチワルイ僕に、翔さんは触れてほしくない…。



パシッ。

乾いた音がする。




「あ…ごめん、ね…」


「っ、」




僕は無意識に翔さんの手を叩いてしまっていた。


切なそうに顔をしかめる翔さん。
僕がその表情にさせてしまったと思うと、なお胸が痛む。



ごめんなさい。
ごめんなさい。

最初から、僕には無理だった。




優しさや温かさなんて、



望んじゃいけなかった…。




「…、ごめんなさいっ…!!」


「!?クロハっ!!」




僕はやみくもに家を飛び出した。

翔さんの僕を呼ぶ声が、頭の中に響く。



外は寒くて、真っ暗で…。




「…翔、さんっ…」




もっと別の形で貴方に会えていたら、
キモチワルイ僕なんかじゃなかったら、




もう少し、

隣にいれたのかな……?




離れて気付く気持ち。




僕、翔さんのことが…


…好きなんだ…。










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あきゅろす。
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