ーYourselfー
第26話『VS.プリーステス』
シュッ、
秋菜が走り出したのと同時に、〔プリーステス〕は一気に全ての触手を彼ら5人に向けて伸ばした。〔囁くティアラ〕2体もそれぞれ動き出す。今夜一番の戦いの幕が開いた。
『こっのぉ!勝手に暴れるなっつの!』
向かってきた触手をまず避けると、目前に迫っていたシャドウにゆかりは咄嗟に弓を引く。その矢は見事命中した。が、こんな攻撃だけで消滅する筈もなく、〔囁くティアラ〕は反撃を仕掛け、ゆかりに己の触手を向けた。〔プリーステス〕と比べると鋭利ではあったが、その短さと威力は一目瞭然。しかし、それで彼女の注意を引くには十分なものだった。ゆかりはタルタロスで鍛えられた瞬発力でそれを間一髪の所で避けたが、死角より〔プリーステス〕のしなった触手が、彼女の背中を打ち付けた。
パシンッ
『あぁっ!!』
思わぬ衝撃に耐えらなかったゆかりは反動で弓を落とし、カランと言う音と共にその場に崩れた。
『ゆかり、大丈夫!?』
『うん、何とか平気!』
その頃、順平に向かった触手は彼が持っていたキシドーブレードに巻き付き、身動きを取れなくしていた。
『ちっくしょ……離しやがれ!』
ザクッ
力任せに振り解こうとしているそれを、先程の攻撃を何とか回避した明が鎌で切り裂いた。2人は一瞬目が合うが、明はすぐ反らして、順平の召喚器に伸ばしていた手を睨む。
『無駄にペルソナ使うんじゃねーぞ……何かあったら助けてやっから、戦うならその剣でやれよ』
『……お、ぅ…』
他に、秋菜は《オルフェウス》で向かってきた触手を凪ぎ払い、木乃は撃って怯ませながら避け、攻撃の第一波で致命傷を負うことなく、何とかやり過ごせた一行。しかしヤツの触手は厄介であると言う意識はしっかり埋め込まれ、クネクネ踊るそれらの手前、なかなか動けずにいた。
【真っ向正面からの攻撃は難しい。使える者は、ペルソナで対抗してくれ、時間が少ない!】
『解りました。
……来い、《アラミタマ》!』
召喚器を取り出しペルソナを喚ぼうとした秋菜であったが、トリガーを引く寸前にまたもあの触手に邪魔をされ、召喚器は弾き飛ばされた。ハッと、宙を浮いたそれを目で追った。
『(しまっ…)ぐぁっ!!』
『秋菜兄!!』
注意がそれたその隙を狙い、ヤツは秋菜を左側から打ち付けた。明らかに大きいヤツの前にしては、秋菜など人形同然の様であり、いとも簡単に飛ばされる。彼は正面から床とご対面し、その反動で切った舌から鉄の味が滲んだ。
この動きが第二波の始まりだった。
『これ以上好きにはさせないよ!』
そう叫んだ木乃は、召喚器ではなく実銃を腰のベルトから引き抜き、ハンマーをカチリと下げて照準を〔プリーステス〕に合わせた。彼女のペルソナ《アプサラス》は、ヤツが得意とし、攻撃を此方へ跳ね返す氷結魔法を唯一の攻撃手段とするため、ペルソナでは戦えないのだ。
ダッ────パンッ! パンッ!
木乃は照準を外さずヤツに向かって走り出す。繰り出される触手や〔囁くティアラ〕の奇襲を、軽やかに避けながら。銃声が鳴り、鉛玉がヤツを目掛けて発射される。しかしそれも触手が弾いて軌道を反らしてしまい、なかなか当たらない。秋菜もすぐに召喚器を拾い、《オルフェウス》を喚んで加勢した。時折発砲される音には未だに仲間も少し驚いてしまうが、その中でも1人、ゆかりが集中を切らすことなく、ヤツの仮面に狙いを定めて弓を引いていた。
そして触手が目の前からなくなった一瞬が訪れた。
(────今!)
シュッ……───ガッ
《ア゙ア゙ア゙ァァァ……!!》
矢はしっかり仮面の中心に刺さり、それは小さくヒビが入った。シャドウは顔を手で覆って叫び、悶え、確実に動きが鈍くなった。
『ゆかりッチってばナイスすぎ!』
【今だ、全員でかかれ!!】
『来て、《イオ》!』
『今度こそ……《アラミタマ》!』
『出番だ!《ジャックフロスト》!!』
ガンッ!
木乃と、召喚の規制をかけられている順平以外が、一斉に自身のペルソナを喚ぶ。《イオ》は敵全体に風を起こし、《ジャックフロスト》は愛らしい容姿を裏切って強烈なパンチを繰り出す。そして《アラミタマ》は[アギ]より強い火炎魔法────[アギラオ]で、〔プリーステス〕の急所を突いた。
【ナイスだ!】
『来たっ、総攻撃チャンス!』
『まだだ岳羽、突っ込むな!』
『え? って、きゃっ!?』
一斉に叩き込もうとしたゆかりだったが、秋菜の咄嗟のストップで、まだダウンしていない〔囁くティアラ〕の攻撃を間一髪で逃れた。彼女の目前の空気を鋭利な触手が切る。
が、すぐに身を翻し、触手は再びゆかりを狙った。今度は先程の様に体が動かず、咄嗟に腕で顔を覆って衝撃に備えた。
『っ!!』
『《オルフェウス》!』
ガンッ!
キュッと目を瞑っていたゆかりだったが、強い衝撃は来ず、物体が目前を猛スピードで通過した風だけを受けた。秋菜がペルソナを素早く召喚し、背負っている竪琴でシャドウを吹っ飛ばしたのだ。ヤツはその攻撃で天井に叩き付けられる。
『もーらいっ!』
パンッ! パンッ!
木乃がトリガーを引いた。2発ともそれぞれの〔囁くティアラ〕に見事命中した。天井でノびているシャドウは消滅したのだが、もう1体は《ジャックフロスト》の[ソニックパンチ]や放たれた矢も、更には追加射撃まで避けられてしまい、なかなか殲滅出来ない。
ついには、〔プリーステス〕は立ち直ってしまった。
【しまった、マズいな……。
全員警戒しろ、次の攻撃が来るぞ!】
『『!!』』
ふぅ、と肩で息を吐いてからシャドウを睨み付けると、ヤツの仮面の目の闇が、より一層深くなった様な気が秋菜にはした。ゾッと、身の毛が弥立つ。何か嫌な予感がした。
(もしかして、さっきの弱点突いたから…………怒らせた?)
美鶴がわざわざ警戒しろと言うのだから、相当な攻撃が来る筈だ。そうなる前にと、彼は剣を鞘から引き抜いて攻撃を仕掛けた。
ヤツは再び触手で秋菜を弾こうとするが、彼は向かってくるそれらを何とかギリギリで避け続け、前方を横切ったその触手を剣を振り下ろし、裂いた。斬り離された先端部分は、水揚げ仕立ての魚の様に跳ね狂う。すると、秋菜からシャドウまでの間の邪魔物がなくなった。
『秋菜兄、やっちゃえ!』
彼は剣の柄を強く握り直し、体勢を低くしてヤツに向かって一直線……の筈だった。
ゾッ……────
『!?』
構えに入ったところでシャドウの雰囲気が急変し、思わず足を止めた。すると空かさず、先程生き延びた〔囁くティアラ〕が彼の剣の刃を掴んで動きを封じ込む。
(クソッ……ほとんど隙も見せてないのに…!)
『木ノ葉君、左に寄って!』
『!』
シュッ
ザクッ
しかし、これ自体は特に厄介なことではなく、ゆかりの矢が触手に当たった拍子にそれを振り払い、秋菜が仮面を引き裂いてそれを即刻消滅させた。問題は、そうしたことによって、〔プリーステス〕に余裕を作らせてしまったことにあった。
ティアラが黒いモヤとなってモロモロ崩れ始めた直後、車両内の空気の気温がグッと下がった。不意に吸い込んだものは冷たく、喉を簡単に痛めてしまいそうな程。原因は、シャドウが体全身から、一部の触手から、白く冷たい粉を撒き散らしていたからなのだ。
『寒っ……!』
『これって、ほぼ吹雪じゃない!』
(タルタロス内のシャドウとは桁が違う……大型だからか!?)
【気を付けろ、普通の[マハブフ]じゃない!】
『普通じゃねーって……んだよそれ!』
『何で普通じゃないの!? 何よ、ボスだからって調子に乗るなっての! ボスの特権!? ふざけるなーっ!』
【秋原、喋りすぎると喉をやられるぞ】
攻撃を仕掛ける体勢でいたため、体力温存で出来る限り入口付近にいた順平を除いた4人は、かなりヤツに接近していた。ボスの攻撃とは言えども、まさかここまで威力が強い反撃だったとは。予測出来てていなかった彼らはまともにその攻撃を喰らう。
『木ノ葉君っ、さっきの火を使うペルソナは!?』
『召喚器が凍って、引き金が動かない…!』
『やっぱ一緒なのね……私の銃もダメみたい』
『これじゃ弓も逆戻りだし……時間もないのに、どーしろってのよーっ!!』
『あーあ、これはもう直で行くしかないかな?』
『いやいや木乃、丸腰は流石に危険だって!』
『そんなこと、言ってられないでしょ?』
召喚器を含む銃器は使えず、みんな腕やら足やら、体が凍てつき思うように動かせない。それなら、と、他の3人より僅かに攻撃が外れて然程体に影響がない木乃が、明の声を聞かずシャドウに向かった。
彼女は銃を一番の攻撃手段として戦っているが、勿論それだけではない。己の四肢だけで戦う至近距離戦も得意とする。銃器だけが扱えても意味がないからだ。むしろ元より此方の方が専門である。
しかし無論それは、人間が相手であること前提にした話だ。加えて敵は巨大で歩き回ったりするわけでもないので自ら距離を縮めなければならない。超至近距離は、この状況下では確実に攻撃を与えられるとしても、むしろ不利でしかない。
『木乃、今は行くな!』
もう一度明はそう叫ぶものの、木乃の耳にその言葉は届いていない。
(せめて、腕が……いや、体が動ければ……!)
咄嗟にヤツの攻撃を防いでいたせいで、顔を庇う秋菜の左腕は服の上から薄く凍り付き、剣を掴んでいる右手は悴み、握力が徐々に失われていっている。これを落としてしまうのも時間の問題だろう。
【あと1分半を切った、急げっ!!】
『嘘、もうそんな時間なの!?』
『どーすんだよ、このままじゃ俺ら、全員……』
『確実に、死ぬ』
『クッソ! 一瞬でも隙があれば、俺も突っ込めんのに! つか、間髪入れずに[マハブフ]ばっかやんなっつの!!』
美鶴の通信を聞いてシャドウに対し愚痴を吐きながら、明は足をガチャリと言わせながら踏ん張る。一歩一歩、ゆっくりではあるが、確実にヤツとの距離を狭める。だがそれにも限界はある。明は数歩進んだ所でそれ以上進めなくなり、足を止めた。もう踏ん張る事で精一杯の様だ。
残り時間を告げられた所で状況は変わりはしない。シャドウも此方の都合よく動く訳がなく、攻撃は止まない。前には進めない。進めそうにない。
『…一瞬だけでも、この攻撃が緩めば…!』
カチャリ…
無意識に秋菜の心の声が溢れた直後、ふと吹雪の音に交えて聴こえた。微か過ぎてで確証はないが、今は木乃以外誰も動けていないし、彼女も金属物は扱っていない。だから金属製の物が動かされた音が、若干際立って聴こえたのだ。
彼らは嫌な予感がした。何故ならそれは、ずっと背後から聞こえたからだ。
『隙がありゃ、いいん、だな?』
声が震え、体が前屈みでキシドーブレードを杖代わりにしてやっと立てているような人間が、辛うじて[マハブフ]から逃れて無事である召喚器のグリップを掴んでいる。
勿論、それを行っているのは、青い顔をした伊織順平だ。
『何やってんの!死んだら元も子もないのよ!?』
【駄目だ伊織、それ以上の召喚は……っ!】
『だったら、他にペルソナ召喚出来ねぇクセに、誰がやんだよっ!!』
順平が震える足で何とか体を支え、震える手で召喚器の銃口を自身のこめかみに突き付けた。制止を掛ける誰の声も聞き入れていない。美鶴も、通信機を通して叫んだ。
ゴツンッ!
『い゙だっ!』
『『…………え?』』
突如、何か硬い物が順平の頭に見事ヒットした。頭を抱え、召喚を止める。予想外な事態に、周りも呆気に取られた。
『いって……! んだよ今の!』
そう呟く彼が視線を落とした先に、「四ツ矢サイダー」と描かれた缶が転がっていた。
『はぁ!? ジュースって……』
『バカかお前は!』
『『っ!!』』
荒げられた声に驚き、全員そちらを見た。彼らの其々の目に映ったのは、何かを振りかぶった後の体勢でいる秋菜だ。普段光さえないように見える彼の目は、怒りに満ちていた。いや、目だけではない。明すら見たこともない剣幕で、順平を見ている。こんな彼の姿を見るのは生まれて初めてだった。
それから秋菜は一呼吸置いてからいつも通りの落ち着いた口調に戻る。
『いい加減にしろ、死にたいのか』
『んなワケねーだろ! 死にたかねーよ!! でもっ、……ならどーすんだよ!! このままじゃ全員、死ぬんだろ!?』
その一声に、誰も何も言えなくなる。モノレールが猛スピードで走る音と、ヤツの技が吹雪いている音だけが数秒続いた。
【早くしろ、危ない!!】
『お前は無茶だ、危険過ぎる。
……僕が隙を作る。召喚器を貸せ』
『貸せってお前……俺だってまだやれるっつーんだよ!!』
『武器を杖にしてるヤツが何を言ってるんだ。
その代わり、トドメは任せたぞ、…………順平』
『な……』
(え…………木ノ葉君、また……)
彼の口から溢れた、2度目の「順平」。
傍らで聞いていたゆかりだけでなく、名前を呼ばれた当人も目を丸くする。
『今おま……順平って……』
『ヤツがダウンしても、僕らは動けない。
みんなの命…────預けた』
『秋菜……』
重いものを背負わされたんだ、順平は思う。
しかし、いざと言うときに頼られ、そして期待通りに終わらせ、一件落着。めでたしめでたし。みんなの平和は、命は、彼のお陰で守られた。
これこそ彼が夢見た、みんなを守るヒーローの様なものだ。
こんな力があったのかと判明した、その時に思ったこと。
『召喚器を、早く!』
『っ、……たく、カッコイーこと言っちゃってよ……!
此方は任せろって!だから……頼んだぜ、秋菜!!』
召喚器を拾い上げ、秋菜に投げ渡す。秋菜は辛うじて動かせた左手でそれを何とか受け取り、また凍ってしまわぬ様、自分の体の陰に一旦隠す。
【秋菜、解っていると思うが、君も召喚による疲労が大きい。あと1回が、恐らく君の限界だ。これを外すと、もう火炎魔法を使える者はいない。
チャンスは1回切りだ】
『大丈夫です、……これで決めます』
秋菜は先に前方で動いている木乃の様子を見計らいながら、徐々に銃口をこめかみに持っていく。
疲労が蓄積しているのは、彼自身よく解っていた。順平程ではないが、足も少し震え初めている上、肩で息をしている。徐々に言うことを利かなくなっていく、己の体。自分の心身状態が解らない程、彼は冷静さを欠いていなかった。
あとチャンスは1回。しかし秋菜は、あと2回でも3回でもやってやろうと言う心意気だった。
(順平じゃないけど……誰も召喚器が使えない状況で、僕の他の誰がやれると言うんだ)
もう、自分しかいない。
改めて決意を固めた時、タイミング良く触手が散らばり、秋菜の視界には〔プリーステス〕の姿が鮮明にあらわとなった。
『『【今だっ!!】』』
『来い……っ、《オルフェウス》!!』
ガンッ!
青く透明な破片の渦より現れた《オルフェウス》はヤツに、大きな咆哮を上げながら、本来なら全体攻撃である[マハラギ]を、ヤツ1体に集中的に浴びせた。此方も通常時より威力が増している様に感じる。それ程、この一撃に対する秋菜の気持ちが強いと言うことだろうか。
断続的に弱点である火炎魔法を喰らうことで、巨大な体が次第に大きく揺れる。遂に〔プリーステス〕は最後の一撃が終わると、操縦室とを仕切る壁に背を預け、ぐったりした。触手も力を失って地を這っている。
【よくやった秋菜、敵の体勢は完全に崩れた! 伊織!!】
『決めろ、順平!!』
『うおりゃぁぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!!』
ブンッ
ザシュッ!!
一体何処にそれ程までの力が残っていたと言うのか、順平は叫びながら杖にしていたキシドーブレードを渾身の力で投げた。両手剣は吸い込まれる様に、ヤツの仮面のど真ん中に突き刺さる。
『っ!!』
【やったか!?】
《ア゙ア゙アァァ……────!!!!》
痛々しい叫び声を上げながら、ヤツは仮面の切り口と触手の先から、ボロボロと通常シャドウと同様に黒い塵となって消滅してゆく。シャドウの原型が無くなると、両手剣はゴトンッと重い音を立てて落ちた。寒さで悴んでいた体も徐々に元に戻っていき、車両内の氷もなくなった。
────ドクンッ…
『!? …っ………(う……っ、また、だ…………)』
先程の召喚で力尽き、その場に膝を着いていた秋菜が、また左胸辺りを抑えた。それはこの戦闘が始まる直前に起きた発作(まではいかないが)と同じ症状だった。
しかしそれもまた、無かったかの様に即刻収まる。
【敵シャドウ、反応消滅。よくやってくれた】
『やった!!』
通信機を通した美鶴の言葉で、木乃はピョンと跳んで歓喜を表す。それを筆頭に其々、ふぅ……と安堵の息を吐いたりしながら、武器を収めた。明が順平の投げた剣を引きずりながら、ゆかりと共に秋菜の元に駆け寄って立ち上がらせ、順平は支えにしていたものがなくなり、その場にドサッと座り込んだ。
『やったね、木ノ葉君』
『あぁ、……何とか』
『ギリギリセーフ……か?』
『セーフって、何が?』
『何がって明、これだよ! 止まんなきゃ意味ねーじゃん』
『へ? 普通に動いてるよ?』
ほら、と言って、木乃はつり革を指差す。それは未だに前後に揺れており、抵抗もせず、力にその身を委ねていた。因みに窓から見える景色は、まだ色々な色が混じった飛び交う線である。
つまり、だ。
『ほら、じゃねーよ!
まだ止まってねぇじゃんか!』
『そっか、早くブレーキ掛けないと直ぐには…!!』
【おい、何をしている!? 前の列車は直ぐそこだぞ!!】
『ダーーーッ!! こんなモンの運転なんて解っかよ!!』
遠目のカーブの向こうに、1つ前の列車が見えはじめた。
それが視界に入ると、秋菜は彼の体を支えていた2人の腕を無意識に振り払い、操縦席に駆け込んだ。
『秋菜っ!
────────!!』
『、!?』
キィィィィィィ────
To be continued....
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