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「死んだとか言うなよ………」
「生徒会は運営側だから不参加じゃないのか」
「うん。紫先輩が楽しんでこいって」
美作副会長をファーストネームで呼ぶと、クラスの生徒会親衛隊からの冷たい視線が市川に突き刺さった。気づいていないようなので、放っておこう。
「じゃあ市川参加ー」
委員長は名簿に何か書き込んだ。
続いて委員長は、ルール説明に入る。不参加の僕は聞く気も起きず、既にスールを把握しているのだろう市川の雑談に付き合ってやることにした。
「木崎は風紀委員だもんな、不参加かぁ」
「走るのは嫌いだ」
「つまんねー」
「結構だ」
「優勝したら学食で幻のメニュー頼めるんだよ! 優勝したいじゃん!」
市川の話を聞き流していた僕は、その言葉に反応した。
――――幻のメニュー?
「はい、ルールはそんな感じだけど、怪我しないように楽しく………って何だ木崎」
僕は右手を大いに挙げた。
狙うは幻のメニュー。
「作戦会議に入ります」
「えっ、木崎出ないじゃん」
「だからクラスの皆さんには優勝狙ってもらおうかと」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
つかつかと教壇に上がり、机に上がっていた指示棒を掴んだ。これは鳴海先生が授業の際使用しているものだ。
「おい木崎」
制止するホスト風の担任、鳴海先生をジェスチャーで宥めた。僕に指図したいのならば、まずはシャツのボタンを二つほど留めていただきたい。
「狙いは他のクラスよりも多く捕らえること。鬼だろうと何だろうと、自分のクラス以外は全員が敵です」
ぺしぺしと指示棒を教卓に叩きつける。
目があった最前列の生徒が「ひッ」と声を上げた。
「幻のメニューが食べたいかァァァ!!!」
「…………お、おォォォォ!!!」
目指せ優勝。
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