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 脳が混乱の末思考停止して、その後のことはあんまり覚えていない。
 ただ、これだけの数の生徒の中で、あいつに絶対見つからないようにと身を潜めながら寮に戻ったことは覚えている。
 顔は髪で隠れているし、その髪色でさえ違う。そして全員同じ服を着てるのだから、気づかれるはずもないのに。


 「………はぁ」


 寮に帰ってすぐ、ベッドにダイブした。

 学校って、真面目に行った記憶がない。小学校の頃はちゃんと通ってたけど、中学に入ってからはサボりを繰り返し、学校行事だけ参加してはクラスの女子に怒られていた。ちゃんと通うと、こんなに疲れるのか。


 「………友達とか出来んのかな」


 オタクとか、見た目が気持ち悪いとか。朝からずっと、嫌なことばっかり言われた。
 みんな中等部から一緒だから話しかけにくいし。金持ちオーラ出てるし。何だか自信を失くしそうだ。

 うまくやってけるかな。いや、うまくやらなきゃいけないんだ。
 友達だってきっと出来るから、大丈夫。


 ぐう。


 落ち込んでても腹は減る。

 システムキッチンはあるけど、冷蔵庫は空。
 何でも、キッチンにあるタッチパネルから欲しいものを選べば、次の日寮のフロントに届くシステムらしい。生協の宅配みたいな感じだろうか。
 そもそも寮にフロントって……ますますホテルみたいだ。

 今度から自炊しようかな。
 学食は美味かったけど、根っからの庶民派な俺にはどうも慣れない。学生食堂なのにウェイターさんがいたり、わけのわからない料理の名前がずらずらと書かれているのも緊張してしまう。

 けれど材料もないし、今日は学食を使うことにした。


 「………じゃあ、デミグラスソースのオムライスで」


 その学食もホテル級に豪華で。


 「卵は半熟になさいますか、完熟が宜しいですか?」


 え、選べんの?




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