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認可
 
 
 親衛隊は、「同好会」扱いになるらしい。

 部活動は最低人数五人・顧問の教師(自分たちで探す)の許可で生徒会から認可を貰い、部活動のための部屋と部費を与えられる。同好会は最低人数三人。顧問の教師がいなくても認可が貰えて、部活動のための部屋のみが与えられる。その代わり、部費は貰えない。
 親衛隊は人数的には「部活動」レベルなんだけど(普通に言ってるけど、これって笑えない)、部費を出すわけにはいかないから、同好会の申請しか許可していないらしい。それから、認可は親衛隊の対象となる本人の立ち会いの元。書類にサインもしなくてはいけない、などと細かいルールが沢山ある。俺にはよく分からないから、半分くらい聞き流してしまった。


 「晶の親衛隊隊長さん?」
 「はははははははい」


 牧野先輩は、昼休みに俺が「親衛隊作ってもいいですよ」と教室まで言いに行くと、凄く嬉しそうな顔で喜んでいた。
 まだ複雑な気持ちはあるんだけれど、嬉しそうな牧野先輩を見ていると、まあいいかと思ってしまう。

 今は放課後。
 応接セットに座らされ、紫先輩に紅茶を淹れてもらい、さっきから頭をペコペコと下げている。
 分かります、俺も最初は王子様のキラキラオーラに圧倒されていたから。でもそれは仮面で、中身は魔王なんですよー………。


 「……晶。どう、したの?」
 「しっ!」


 机の影に隠れて、そんな牧野先輩を観察してたら、大倉先輩に不審がられた。
 牧野先輩は可愛い。男だけど。そんな先輩が魔王の冷気にやられたら可哀想だから、こっそり見守っているのだ。


 「……俺も。する」


 一緒になって屈む大倉先輩の考えとしては、多分面白そうだから参加したんだろう。


 「コピー取れ。提出用二枚に生徒会用の控えと、あと一枚は牧野に渡せ」
 「はぁい!」


 近江先輩はデスクに足を乗せた司の命令に可愛く返事をして、コピー機の方にぱたぱたと走って行った。どうやら親衛隊発足のための許可証らしく、コピー機から出てきた一枚を早速牧野先輩に渡す。


 「はいっ! これシオちゃんの」
 「ありがとう、近江君」


 ちっちゃい子みたいなテンションで渡す近江先輩に、笑顔で応える牧野 栞先輩。栞、だからシオちゃんなんだろう。
 二人とも女顔で身長も低いから、何となくほのぼのする。ぶっちゃけ可愛い。

 男ばっかりの空間に放り込まれて、たまにこういうこと考えたりする俺は、もう手遅れなのかもしれない。


 何となく平和そうだから、机の影から出ることにした。これ以上ここにいたら、俺まで変態になる。変態は毎日セクハラかましてくる司と、笑顔によからぬものを感じる紫先輩だけで十分だ。
 一緒にいた大倉先輩は……すでに飽きていたらしく、窓辺でケーキを食べていた。

 しかしこの学園には、可愛い人が多い。普通高校生男児って、こう、成長するものじゃないのか。牧野先輩も近江先輩もそうだし、風紀の上ノ宮先輩も二人よりは身長があるけど(ていうか俺よりあるかも)、何となく中性的な顔立ちをしている。
 ずっとこの閉鎖的な学園の中で暮らしてると、あんまり成長しなくなるのかな。


 「西園寺様!!」


 ぼんやりとそんなことを考えていたら、突然生徒会室のドアが開いた。



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