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俺が抱きついた肩をパンパンと払いながら(切ない)、木崎は「しかし西園寺会長も大変だな」と呆れたように呟いた。
俺はこの前似たようなことを聞いた気がして、思い出そうとしてもいまいち記憶ははっきりとしなかった。
「ていうか木崎、司と知り合い?」
「……あぁ」
「えっありえねぇ。あいつ俺様だったろ、ごめんなー」
「誰が俺様だ」
「おめーだよ…………って」
ん。
突然増えた三つめの声に、俺は言葉を噤む。
「陰口叩いてんじゃねーよ」
振り返るとそこには案の定。
噂をすれば何とやら、司の姿があった。
しかも隣には晴一さんまでいる。え、ヤバい緊張する。
「こ、この前ありがとうございまみた、たすけてくれて」
緊張のあまり、少し噛んだ。
晴一さんは「あぁ……」と思い出すみたいに言うと、ちょっと笑って「大変だったな」と俺の頭をポンポン叩いてくれた。じわりと目頭が熱くなる。晴一さん大好きです。司が「俺無視かよ」とか言ってるけど、シカトです。だってどうでもいいし。
「桜庭先輩、市川と知り合いだったんですか」
木崎がちょっと驚いた風に言った。表情は変わらずの無表情だけれど、声色で分かる。
「あぁ、ちょっとな」
「晴一さんは俺が昔世話になったストリートチームのメンバーなんだ! つーか木崎と晴一さんは何で知り合い?」
「風紀委員だから」
「………つーか晶と木崎は何なんだよ」
それまで黙ってた司が、低い声で言った。
「はぃ?」
「さっきお前、好きとか言ってたよなあ?」
口の端は上がっていても、眼は笑ってないし不機嫌なオーラは振り撒いてるし。
あぁもう、そんな怒るなよ。俺と仲良くしたいのは分かったけど、俺は司とだけ親しくする気はない。俺と友達になりたいのなら、まず人を鍛えてくれ。俺の友達はお前の友達、人類皆兄弟だ。
「俺には言わねーくせに何こいつに告ってんだよ」
「はぁ? なにいいひゃいいひゃい」
頬をぶにーっと引き上げられ、うまく喋れずに間抜けな声が出た。
ていうか、お前に「好きだ」とか言う義理ねーだろ。
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