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--04
 
 
 エレベーターが六階に着いた。
 入れ違いにエレベーターの中へ向かう生徒をかわしているうちに、木崎はスタスタと歩いて行ってしまう。


 「ちょ、木崎待ってー」


 慌てて足を早め追いついた。

 特待寮と比べて、壁紙や床は割とシンプル。その代わり、休憩所や自販機が点々と存在する。
 初めて入る一般寮にキョロキョロする俺に反して、木崎はしっかりと歩いていく。


 「道、分かるのか?」
 「風紀で何度か来たことがある」
 「…………へぇ」


 本当、風紀委員会って何やってるんだろう。

 道も分からないままついていくと、木崎はあるドアの前で足を止めた。『有坂 巡・白薙 北斗』。いつの間にか、有坂と委員長の部屋の前まで来ていたらしい。特待寮とは違って、部屋番号の下に入寮者の名前が提げられている。そもそも特待寮には、部屋番号自体が存在しないのだけれど。
 こいつ何で部屋番号知ってんの、と思っていたら、「今朝委員長に聞いた」らしい。無表情な横顔で、インターホンを押した。


 「市川!」


 すぐにドタドタと足音が聞こえ、勢いよくドアが開いた。
 そこには怒ったような顔の有坂がいる。


 「寮に着いたら電話してって言ったじゃん」
 「………あ」


 木崎がガンガン進むから忘れてた。


 「悪いな有坂」
 「いいよ、もう仕方ないし。とりあえず上がって」


 俺の代わりに謝罪した木崎に、有坂は少しだけ眉間の皺を緩める。お前何で木崎には優しいの?


 「そういえば有坂の下の名前、珍しいな」


 ローファーを脱ぎながら、さっき思ったことを口にする。
 表札の名前。「じゅん」ではなく「めぐる」だと、首を傾げる俺に木崎は言っていた。


 「そう?」
 「うん。初めて聞いた」
 「この学園って、珍しい名前の生徒が多いから」


 言われてみれば確かに。
 生徒会メンバーも「濃い」よなぁ………唯一、木崎と晴一さんが普通だと思いつくけど、それでも珍しい部類だと思う。太郎とかいないんか。


 「将来社長とかになったとき、名前が被るといけない、とか思うんじゃない?」


 馬鹿馬鹿しいよね、と有坂は肩を竦めた。





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あきゅろす。
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