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--07
 
 
 「あんま深く考えなくてもいいんじゃねえの」


 司の声に、じゃがいもをほぐす手を止めた。


 「本当に好きだって思ったなら、そのときは理屈とかねぇだろ」
 「うーん………」


 いや、ごめん。そんな真剣に悩んでたわけじゃなくて、ぽろっと出てきただけなんだ。今はじゃがいもほぐすことに精一杯だから、それはもういいんだ。

 「まあ何でそんな考えてるか知らねぇけど」と言いながら、司はカレーをスプーンですくった。カレー似合わないな、お前。


 「俺のことも真剣に考えろよ?」


 そう、こいつも俺のことが好きなんだよな。
 気づいてたのかもしれない。知らないふりをしていたのかもしれない。でももう誤魔化せない。


 「そのつもり」


 だからちゃんと考える。
 茶化したりはぐらかしたりしない、って決めた。司に対しても、司を好きな人に対しても、それが一番いいってことに気づいたから。司の気持ちを受け止めて、それで受け入れられるかどうか、俺なりにちゃんと考える。

 でも、今の俺としては、男が男を恋愛対象として好きになる気持ちが、まだ分からない。
 第一司が俺を好きだなんて、………未だにちょっと信じられないかも。もっとこう、ほら、可愛い女の子とか選べよ。みたいな。
 わざわざ俺じゃなくてもいいじゃん、ていうね。俺庶民だし。男だし。可愛くないし。


 「あ」


 もんもん考えてたら、言わなきゃいけないことがあることを思い出した。


 「もしかしたら明日、生徒会休むかも」
 「は?」
 「友達のとこ遊びに行ってくる」


 木崎が出席したら、だけど。
 一応こいつが生徒会の会長なわけだし、伝えておいた方がいいだろう。一応、というか事実会長なんだけど。

 空いた二つのグラスに水を注ぎ顔を上げると、


 「誰だよ友達って」


 苛立たしげな司の顔。
 お前俺のことが好きなら、俺に友達が出来たことを祝福しろよ。


 「……クラスメイト」


 紫先輩の言ったとおりになったな、なんてこっそり苦笑いを零すと、


 「わけわかんねぇやつと遊んでんじゃねーよ」


 予想通りすぎる台詞が返って来た。
 本当に言ったよこいつ。




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あきゅろす。
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