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 好きって、何。
 いやいやいや、それくらいは分かるよ。

 そうじゃなくて、紫先輩が、俺を、好き。
 嬉しい。気持ちは凄い嬉しい。でも好きってことは付き合うってことで、紫先輩とイチャついたりデートしたりするわけだ。そこまでは想像出来ない。

 でも紫先輩は、俺と付き合ったりはしなくていい、らしい。

 好きなら付き合うんじゃないの? 俺も中学の頃は彼女いたし(彼女放っといて友達と遊びまくってたら振られた)、好きだから付き合ってた。と思う。

 付き合わなくても、恋人じゃなくても「好き」? それって恋愛感情なの?………そうだよな、多分。何か分かんなくなってきた。


 「好き、って何だろう」
 「…………」


 ぼんやり呟くと、目の前に座る司が「うわあ何こいつ」みたいな目で俺を見ていた。あ、こいついるの忘れてた。


 「身体に教えてやろーか? 手取り足取り腰取り。主に腰」
 「結構です」


 夏期休暇が終わってから、今まで以上に司が俺の部屋で夕飯を食べる機会が増えた。休暇中の司の食事は俺が作っていたわけだし、俺も習慣になっていたりする。
 今日のメニューは昨日の残りのカレー。庶民は、一週間カレーを食べ続けるくらいどうってことない。


 「つーかいきなりどした」


 スプーンをくわえたまま、司は言う。


 「んー………」
 「………」


 二日目以降の方がコクが出て美味いのに。金持ちはきっと、この辺で損をしてる。



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