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ここは早期に退散しよう、とお茶を一気に飲み干そうとした。
その時である。
「晴一。学食で生徒会絡みのトラブル発生がしているよ」
隣の部屋のドアが勢いよく開き、チカ先輩がヘッドフォンに付いたダイヤルをクルクルと回しながら出てきた。
「は? てめぇさっきまでいたじゃねえか」
「丁度入れ違いに起きた出来事らしいね。ごめんよ」
桐生先輩は「新学期早々何だ」と奥の部屋に向かう。
「お前が起こしたんじゃねぇの?」
「誤解だよ晴一」
「………くそっ」
桜庭先輩はチラリと僕を見やると、足早に迎賓室を出て行った。
チカ先輩も奥の部屋に消え、そして誰もいなくなった。
とりあえずこの隙に、教室へ戻ろう。
お茶は美味しいからいただきます。
そうしてこの出来事は、僕の中では無かったことになったのである。
……なったはずだった。
◇
翌日は午前中で授業が終了した。
どうやら新入生のための校内見学、部活動見学の時間として設けられた時間らしい。
学食で何を食べようか思案する僕を、浮き足立つ新入生が追い越して行った。
他人行儀な言い方をしたが、僕も新入生である。
ただし浮き足立ってはいない。そのつもりだ。
校舎は入学前に叔父に案内されて見尽くした。
部活動をやる気もない僕は、急に「外の空気が吸いたい」と思った。
全寮制の学園。
外に出る機会と言えば、寮と学園の往復くらいだ。
屋上へ行こう、と思った。
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