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 細めた眼も上がった唇も、全てが完璧な王子様スマイル。でも、一番綺麗なその瞳の奥が笑ってない。


 「勿体ないですよ、せっかく綺麗なのに」


 いつの間にか広い場所に出ていた。壁際には二つ、エレベーターらしきドアがある。
 え、「五階」ってエレベーターで行くんですか。学校にエレベーターって………これ普通なのか? 俺がおかしいのか? まあ五階まで階段昇るの大変だし、いっか。気にしない。

 無理やり考えないようにして壁際へ向かう。
 上へ向いた矢印を押そうと人差し指を伸ばすと、


 「………よく気づいたね?」


 背後から冷気が襲ってきた。


 「え……」
 「まさか君みたいな子に気付かれるなんてね」


 声が変わった。
 振り向けば、王子様は相変わらずのスマイルを浮かべ……あ、ちょっと目がイキイキしてる。それが本性ですか。腹黒ですか。そんな本性なら暴かなきゃ良かったかなーみたいな。えへ。


 「面白いね」
 「あ、っははははは!!」


 ブリザーーーーード!!!

 微笑みの貴公子はゆっくり歩み寄ってくる。You韓流ドラマ出ちゃえyo!なんて余裕ぶちかましてたら背後は壁でした。

 前には腹黒王子様。
 壁に両腕置かれて八方塞がりな俺。


 「気に入ったよ」
 「は? ―――ちょ、近い近い近い!!!」


 いきなりお綺麗な顔が近づいて来る。咄嗟の反射神経で両手を掲げ、これ以上距離を縮めることを防いだ。それでも王子様との距離は数センチ。ちょっと待て、いくら何でも近い。近すぎる。


 「何、ですか」
 「え、キスしようかなーって」
 「はぁあ!!?」


 何でそうなった!?


 「歓迎の証?」
 「いいですそんな歓迎ならしてくれなくても!!」
 「……この学園の生徒なら、僕にキスされるためなら心臓の一つや二つ売るんだけどなぁ」
 「心臓は一個しかないんで無理デス」




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あきゅろす。
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