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--03
 
 
 「僕なんてプリント回すだけでちらっと睨まれるんだから。怖すぎ」
 「入学早々に編入生で固まられて、お互い"役職持ち"だから、クラスのやつらも話し掛けにくいんじゃないかな」


 二人は言いながら箸を動かす。

 ていうか、木崎…………めっちゃ嬉しい。嬉しい、んだけど、それだから俺に友達が出来なかったのか。やっと分かったよ。
 そこまで警戒しなくても、今さら誰も何も言わないような。いや、嬉しいよ。嬉しいんだけどさ。


 「だから友達いないのか俺………」


 嬉しいような悲しいような。複雑だ。
 ちょっと伸びてべたべたになったうどんを箸で摘まみ呟くと、


 「えっ! 市川って友達いないの!?」


 有坂に異常に驚かれ、俺はへこんだ。


 「そんなはっきり言わなくても………」
 「だって編入から半年経ってるじゃん!」
 「………生徒会とか、色々忙しいんだって」


 半分は本当。
 基本的に寮の部屋→勉強→生徒会の往復だから、友達なんて出来ない。まあもう半分は木崎に潰されてたわけだけど。


 「特待生の寮って、中で繋がってるから。行動も限られてたら、限られた人脈しか形成出来ないんじゃないかな」
 「………追い打ち掛けないで委員長」
 「生徒会の役員も特待寮だしね。………ってことは、一般寮入ったことない?」
 「………ナイデス」


 何これ。苛め?


 「あ、ねぇねぇ」


 俺を散々苛めまくった有坂は、何か思いついたように顔をぱっと輝かせた。
 木崎で耐性ついてる俺は、若干身体が固くなる。「急な思いつき」イコール、「災難」。この流れが染みついているらしい。


 「僕らの部屋、来ない?」
 「僕ら?」
 「相部屋なんだ。一般寮は二人一部屋」
 「へー! 相部屋楽しそうだな」
 「そんなことないよ」
 「北斗は黙っててくれる」


 委員長を睨む有坂に首を傾げると、「同室なんだ」と委員長は笑った。
 あぁ、だから僕"ら"か。仲良しで羨ましい。


 「うーん………でも放課後は生徒会あるしなぁ……」


 箸先を咥え考える。
 授業終わって生徒会室直行して、終わるのは大体七時とか八時だしなあ。行事前はもっと掛かるし。




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