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 晴一さんは、俺の地元で一番大きいナイトチーム、゙Rouge゙の右腕だ。゙Rouge゙のリーダー・赤峰さんに気に入られていた俺は、その繋がりで晴一さんにも色々助けてもらったことがある。
 晴一さんは優しくて、滅茶苦茶やってる赤峰さんのブレーキ役でもあった。いつも落ち着きがあって大人っぽいと思ってたのに、

 高校生だったんか! 詐欺だろ、晴一さんと言い司と言い!!


 「おい、怪我は?」


 一人パニックになっていた俺に、晴一さんから声が掛かった。
 え、すいませんめっちゃ緊張する。


 「な、い、です」
 「………分かった。もう今日は寮に戻れ」
 「え」


 今日は午後まで授業あるんですけど……。

 俺の考えを読んだのか、晴一さんは「いいから帰れ」ともう一度言う。


 「一年Sクラス………鳴海か。俺から話つけとくからお前は帰れ」


 意味が分からなかったけど、司は殺気立ってるし、周りはよからぬ噂を立ててるみたいだし。素直に従った方がいいのかもしれない。
 晴一さんに礼をして、俺はその場から逃げるようにして立ち去った。


 「………ありえねぇ」


 ◆


 中学の頃グレた俺は、夜遊びを覚えた。

 夜遊びなんて言っても、本当に夜遊ぶだけ。ゲーセン行ったりカラオケ行ったり。
 そのうちその辺りを取り締まってるチーム――晴一さんが所属してる゙Rouge゙と、゙Noir゙――の頭と仲良くなって、クラブやイベントにも連れ出された。酒は周りに止められたから飲まなかった。


 気づけば゙月兎゙と呼ばれるようになっていた。
 月の兎。
 すばしっこさと髪色から、゙Rouge゙の赤峰さんどNoir゙の黒崎さんが付けた通り名だ。




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