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 初日だからか、この日は午前授業だった。


 ……やっぱ難しすぎる。
 中学にちょっと行かなかっただけで、こんなに分からないもんなの? それとも、この学園のレベルが高いの? どのみち何も分からない。教科書を開いても、宇宙言語で書かれているようにしか見えない。

 腹が減っては戦は出来ぬ、校内にある学食へ行くことにした。

 こっちは寮の学食と違って、先にタッチパネルで注文してから自分でカウンターに取りに行く、セルフサービスシステムらしい。俺的にはこっちの方が庶民的でいい。ウェイターさんにあれこれやらせてしまうのは、どうも居心地が悪い。

 でもメニューが豊富なのは変わらない。
 ちょっと迷って「唐揚げランチ」にした。他に「唐揚げ定食」と「唐揚げ御膳」があり、気になった。どう違うんだろう。


 「………美味っ」


 唐揚げランチは、唐揚げとポテトサラダとキャベツの千切りに、白飯と味噌汁がついたものだった。
 普通のメニューなのに、一つひとつがめちゃめちゃ美味い。唐揚げは味がしっかり染み込んでいるし、ポテトサラダやキャベツは野菜の甘みが活きている。味噌汁のワカメでさえ、家で作ったものと違うことが分かるのだから、いい食材使ってるんだろうなあ。うぅん、金持ちって凄い。


 「アンタが特待生?」


 白飯をかっ込んでると、いきなり声を掛けられた。
 ハムスターみたいに頬っぺたを膨らました、間抜けな顔を上げる。


 「うわっ………キモい」


 だったら飯食ってるときに話し掛けんなよ……ちょっと傷ついただろ。


 「何だよ?」


 口の中のものを飲み込んで答える。

 そいつは小柄で細くて、うちのクラスのチワワみたいな奴だった。
 じろじろ見られて、何か気分悪い。


 そいつはひとしきり俺を見ると、「ただの庶民じゃん」と鼻で笑った。



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