それから テストは無事終了した。 結局盗まれたテストがどうなったのか、俺は知らない。テスト盗んでまでカンニングだなんてダメだろう、とか言えるのは、俺が真面目に勉強したからだ。しかも、なかなかいい点数が取れたから。 「二十七位!」 テスト結果を一緒に見に来た木崎にピースすると、木崎は「へぇ」と感心したように掲示板を見上げた。余裕の首席様は俺の二十七位なんか眼中にないかもしれないが、もっと褒めてほしい。 「あ」 ふと目にした第三学年の掲示板の前に、一際明るい金髪を見つけた。 「紫先輩!」 駆け寄ると、紫先輩は俺に気づいて振り向き、にこりと笑う。昨日まであれだけ弱っていたのに、こんなにも笑えるのか。 強いんだな、と思う。 「おはよう晶。テストはどうだった?」 そう言って笑う紫先輩の眼は、 「え」 「コンタクト、外してみたんだ」 陽に透ける琥珀色。 不思議な色の眼はちょっとだけ不安げだったから。 「綺麗です、凄く」 紫先輩の眼を見て、俺ははっきりと言った。まがい物の碧よりも、ありのままの色が紫先輩には似合っている。 深い海のような碧色ではないけれど、宝石みたいに輝く琥珀色は、お世辞じゃなくて本当に、綺麗だった。 「見つめあってんなよコラ」 「わっ!?」 いきなり視界が真っ暗になった。 犯人は振り向かなくても、声で分かる。司の手に顔が覆われて、前が見えない。 「おはよう、司」 「よっ。学年首席サマ」 「司もなかなかいい点取れたみたいだね。……あ、晶はどうだった?」 「あーっと、二十七位です」 ようやく司の手が顔から離れ、突然差し込む光に目が眩む。 [←][→] [戻る] |