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ハルコちゃん








「桜木君!!」


廊下から大人しそうな可愛い女子が入ってきて桜木に話し掛けた。私以外で桜木に話し掛ける女子は初めて見た。しかもこんな大人しそうで可愛い子だなんて。
私は洋平にこそっと話し掛けた。


「洋平、あの子は…?」

「花道が惚れた子だよ。ハルコちゃんっての」

「へぇ…可愛い子だね」


ハルコちゃんをじっと見るとハルコちゃんは私を見た。ぷ、桜木がハルコちゃん見てデレデレしてる。


「も、もしかして佐伯千尋さん!?」

「へ!?ど、どうして…」


はじけたように私を見、私の名前を確かめるハルコちゃん。そしてもっと驚いてハルコちゃんを凝視する私。


「わ、私バスケ部だったからあなたのことよく見てたのよう!憧れだったの!!」

「そ、そんな憧れだなんてオーバーな…」

まさかハルコちゃんがこんな大胆だったなんて…。もっと大人しい子だろうと思ってたのに…。


「あああああの」


おもいっきりどもってあたしへの視線を一瞬もずらさずに、顔を赤くして話し掛けてくるハルコちゃん。
私は「ん?」と首を傾げ、桜木と洋平は私とハルコちゃんを交互に見比べている。


「佐伯さん、と、友達になってください!」


ずべっ

…こけた。ギャグ漫画のオチに驚いた時のような、こけかた。
私だけじゃなくて洋平もこけた。

ハルコちゃん、もしかして天然…!?


「も、もちろんいいよ!むしろこっちからお願いしたいくらいだから!」


笑いをこらえながら言ったが、その内容は本心だ。
クラスにはちゃんと女子の友達もできたけど、わざわざ桜木達と一緒にいて話し掛けて来るような人はいないから。桜木達と絡まなければいいんだけど、そうもいかない。奴ら(桜木軍団)は面白すぎる。奴らと関わりを断ち切ったら高校生活がつまらなくなる。絶対に。
でもハルコちゃんなら奴らと一緒にいても話し掛けてくれる。貴重な女友達だ。


「本当!?私は赤木晴子!ヨロシクね、佐伯さん」


おまけにすごく可愛い。そして何より……桜木の片想いの相手だ。見ろあの羨ましそうな顔。ぷぷっ。


「千尋でいいよ、ハルコちゃん」

「うん!」


ニコニコと笑っているハルコちゃんは可愛い。本当に可愛い。私もつられて微笑んだ。桜木が惚れるのも良くわかる…!てか初めて桜木の気持ちがわかったよ!









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