[携帯モード] [URL送信]
桜木








湘北高校。
私が今から通う県立高校。
偏差値は高くない。だから受験勉強を12月中頃に始めた私が合格出来たんだけど。

入学式が終わり1年7組へと歩みを進める。同中生はいない。東京から引っ越して来たから。小学生のときは神奈川にいたけど、まさか知り合いがいるとは思えない(というか覚えていない)。

せっかく高校生になったというのに、楽しみが特にないというのはどういうことなのか。
あ、ひとつある。それは男バスのマネージャーになることだ。
本当は女バスに入るつもりだったんだけど、深いようで浅い事情により女バスのない湘北に入ってしまった。だから男バスマネージャーになることを決めた。


ということで教室に入ってみると一瞬で目についた赤い頭。
赤いリーゼントだ。
そんな髪の毛から見ればものすごい不良なのだが、まとってる雰囲気が暗い。暗すぎだ。でかい体を傾かせて机に突っ伏している。
………困ったことに私の後ろの席だ。本当に困った。
刺激しないようにそっと椅子を引くと赤髪が顔をあげた。

ばち、と目が合う。
あれ…?こいつ見たことある。あ、そうだ。


「桜木花道?」

「ぬ。なぜオレの…」

「ほら、私佐伯千尋。覚えてない?同小だった」

「おお!千尋か!」


桜木がぽんっと手を鳴らす。それやる人実際に見たの初めてだよ。
ていうか後ろの席がおっかない人じゃなくて良かった。桜木は何があって髪を赤くそめたんだか知らないけど、根は良いヤツだ。だからおもいっきり悪くなったわけではないだろう


「千尋って東京に行ったんじゃ…?」

「ああ、うん。春に帰ってきたんだよ。親の転勤で。てか何?その髪。ぷぷっ」


つい笑いがもれる。
なんで赤なんだろう。ふつう金髪じゃないか?まあ桜木に金髪は似合わないだろうけど。
笑っていると桜木が顔を赤くした。やっぱり変わってないなぁ。


「は、花道が可愛い女の子と普通に話してるぞ!?」


不意に後ろから声が降ってきた。
くる、とそっちを見るとリーゼントとデブと金髪とヒゲ。
この人達は桜木の仲間かな?花道ってよんでたし。


「君、花道が怖くないの?」


リーゼントが話し掛けてきた。このリーゼントは他の3人に比べて落ち着いた雰囲気だ。


「同小だったんで。それに桜木って根は良いヤツだし。まあ赤いのには驚いたけど…ぷっ」


桜木をちらっと見ると(当たり前だが)真っ赤な髪。なんかしらないけどほんと笑える……!!
そんな私を見た4人が呆気に取られる。何故だ?


「俺は水戸洋平。同じクラスだ。よろしく」

「高宮望!」
「大楠雄二!」
「野間忠一郎!」

水戸は普通に、あとの3人は変なポーズで私に自己紹介してくる。
この人達も悪い人じゃないんだろうな。

「私は佐伯千尋。よろしく」







こうして私の波瀾万丈高校生活が始まった。










Next

1/12ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!