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VS青田先輩





「柔道部に入部……?」


洋平が眉をひそめた。桜木の頭の上にははてなが沢山浮いている(ように見える)。
しかしすぐに桜木がハッとして私を見た。


「千尋、バスケ部のマネージャーになるんじゃなかったのか!?」


もちろんそのつもりだよ、と言おうとしたが青田先輩に肩を捕まれ阻まれた。


「よりにもよってバスケ部なのか!?」

「は、はぁ…」


ものすごい勢いに若干、いや、こっちも負けないほどものすごく引いた。なんだこの人は。
冷めた目で青田先輩を見ていると何か急に赤木っていう人との因縁を語りだした。…あれ?赤木ってハルコちゃんのお兄さんっていうあのゴリラ?
うーん、と唸っていると洋平と目がバチッと合った。


「あ、みんな帰ってていいよ。もーすぐ授業始まるし…ってどうせ授業聞いてないか」

「ぬ。こいつはどうするんだ?」


桜木が今だ熱く語っている青田先輩を指差す。青田先輩はそれに気がついていないようだ(熱くなりすぎ)。


「んー、まぁ勝てばいい話だし」


ニカッと笑うと洋平はヤレヤレと肩を竦めた。
桜木はじとっーと青田先輩を見ている。

「ほら桜木、洋平と帰ってな。もし負けたら…なんとかずらかるからさ」


最後の言葉はこそっと言うと、桜木は渋々ながらも背を向けて歩きだした。
…人も少なくなって来たし、いいだろう。


「さっさと終わらせましょう。授業に遅刻するのはごめんですからね」

「そうだな」


恐らく青田先輩も自分が勝つ気満々なのだろう。不敵な笑みを浮かべている。

私も青田先輩もうわぐつを脱いでマットに上がると、マットさんがはじめの合図を出した。
それとともに私は青田先輩の懐に突っ込み一本背負………と見せかけ踵返。私の十八番である。


「私の勝ちです」







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