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流川楓








あぁ、急いでたのに青田先輩の野郎!!
……急いでたから適当に勝負を了承したけどよかったのだろうか。あの人主将って言ってたけど…。まあやるっきゃないか。負けた場合は入部してもすぐ辞めよう。うん。
結構時間食っちゃったからもう桜木達あそこについてるだろうな…。面倒臭いことになってないといいけど。
………ていうか私はあそこに行って何をしようとしたんだろう。何も出来なくね?…熱くなった桜木を投げ飛ばすことぐらいしか。それができれば十分か。
と、階段を上がっていると上から階段を下りてくる音が聞こえた。
桜木達かな、と見上げると…

頭から血が流れまくってるでかい男がいた。


「な、ななななな!!」

(うるせぇ)


こんなに頭から血が流れている人を滅多に見たことがない私は(何度も見ていたら大事だが)テンパった。


「な、何その血!!早く保健室に…」

「ほっとけ」

「ほっとけるわけないでしょバカ!!あんたが良くても私は嫌なの!!私がほっといたばかりにあんたが途中でへばって死んでたりでもしたら後味悪すぎ!!」
(自分のためかよ)


先輩だったらどうしようとか自分本意だなだなんて考えてる余裕がない私は、そいつにハンカチを渡し傷口に押し当てるように言い、手を引っ張って保健室へ歩いた。
…案外暴れずにちゃんとついて来る。

一言も言葉を交わさないまま保健室に着いた。


「…げ。先生いないじゃん」

「自分でやる」


先生がいないことに呆然としているとそいつは勝手に包帯を手に取り巻こうとしていた。
…馬鹿かこいつは。


「あーっもう先に消毒しなきゃだめでしょ!!ほら、私がやるからそこ座って」


私はお母さんか、と思いながらガチャガチャと消毒液を探す。
手に取ると、ちゃんとに座って待っていた男に近寄った。


「染みるけどがまんしてね」


そう言って頭にガーゼをぽんぽんと当てる。
子供じゃあるまいしがまんしてねもないか。


「頭の傷は軽いから平気だよ。頭だから出血が多いだけで。でも額は酷いな…すごい腫れてる……ってまさか!!」


はっとよく頭突きをしている、最近よくそばにいるやつが頭にパッと思い浮かんだ。
遠目だったから微妙だけど場所とか怪我してるところとか見れば、こいつは堀田先輩達と喧嘩していたやつだろう。
…ということは、だ。


「その額…赤頭にやられた?」


目の前の男が不機嫌そうに渋々と頷くのを見て、頭を抱えたくなった。それをなんとか抑えて仕上げに包帯をグルグルと巻く。
は、と一つ重要なことを思い出した。


「えーと、アナタは何年生デショウカ?」

「一年」


一年、と聞いてほっとため息をついた。
先輩じゃなくて本当によかった。ずっとタメ口だったし。最初はバカとか言っちゃってたし。


「あ、私は佐伯千尋」


いきなり自己紹介をした私に目の前の男は首を傾げる。


「あー、ほら、名前も知らないやつにこんな治療されたら嫌じゃない?君は?」

「流川楓」


ほんとこいつ無口で無愛想だな。
………ってん?流川?ルカワ?ルカワって最近聞いたような。
っそうだハルコちゃんの片思いの相手!…それで桜木が逆ギレしたってか。うーん、わかりやすい。
ハルコちゃんはなんでこいつに惚れたんだろう?こんなに無愛想なのに。










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あきゅろす。
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