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※庵53



【だから、もう少しだけ】



僕らが両思いになってから初めてのデート。
ドキドキしながらも幸せで楽しい一日はあっという間に過ぎ去り、気付けば辺りは真っ暗。
もう帰らなければいけない時間だ。
だけど・・・・・・。



「カヲル君、駅まで送ってくれてありがとう」
「本当にここでいいのかい?家まで送っていくのに」
「そんな!悪いよっ、それにカヲル君が家遠くなっちゃうし・・・」
「僕のことは気にしなくていいのに」

人通りの少ない駅。
ホームからは次の電車の到着を知らせるアナウンスが聞こえてくる。

「もうすぐ電車が来るようだね。そろそろ行かないと間に合わなくなってしまうよ」
「うん・・・」

明日になればまた学校で会えるのに。
頭ではわかっているのに、僕の足は全く動こうとはしてくれない。
代わりに手だけが動いて、カヲル君のシャツを掴んでいた。

「シンジ君・・・?」
「・・・まだ・・・カヲル君と、離れたくない・・・・・・」

無意識にそこまで口にして、初めて自分が何をしているのか我に返った。

「あっ///ご、ごめん!僕ってば何言って///ごめんね、帰るねっ!!」

これじゃあまるで駄々をこねる子供のようだ。
恥ずかしさのあまり火が出そうな程熱い顔を反らしながら改札へと走り出そうとすると、

「シンジ君っ!」

今度は僕が引きとめられた。
カヲル君の手が僕の腕を掴み、そのまま抱き寄せられる。

「カ、カヲル君っ!?///」
「君って人は・・・僕が必死で君と離れるのを我慢していたのに・・・・・・」

紅い綺麗な瞳は困ったような表情で僕を見つめてくる。

「そんな可愛い顔で言われてしまったら、素直に帰せるわけないよ」
「・・・///」

僕の手に自分の指を絡ませて、カヲル君は改札と反対の方向へと歩き出す。

「カヲル君・・・?」
「星空を見上げながら、もう少しだけ僕とデートしてくれるかい?」
「・・・・・・うん///」

繋がれた手から伝わるカヲル君の体温が温かくて。
カヲル君と見上げる星空は、いつもよりも輝いているように見えた。




END






☆駅でなかなか離れられない二人って萌えません!?
可愛いよね〜明日も会えるのにねぇvv(にやにや)

2012/10/28


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