JS:片思い中に片思い 『世の中不公平』 授業中、僕の隣りでボソッと呟いた彼女は複雑な表情をしていた。表向き怒りの方が勝っても見えるけど、時折見せる切なげな表情。ああ、そういうこと。 「何故不細工と美人を作ったのか?」 『 、黙れ』 冷たく言い放った彼女の表情は変わらない。分かってるよ、君が何を思ってるのかくらい。気付いてる?さっきから君は一番前で堂々と居眠りしてるユチョンに釘付け。 「ん?何見てるの?」 何を見てるのか分かってるけど、君に意地悪をしたくなった。案の定『別に』とだけ言って、彼女の目線はユチョンから教科書に移された。 『見んな馬鹿』 「ひどーい」 自分はずっとユチョン見てたくせに。だけどこれでいいんだ。僕はユチョンを見てる君を見てるから。見るなって言われようが、馬鹿って言われようが、そんなの僕には関係ないよ。その儚い恋心を応援することは出来ないけど、きっといつか君が、世の中不公平じゃないって思える日まで、こうやって隣りに居てあげるから。 「大丈夫」 『何が?』 「ん?」 『え?』 「何でもなーい」 『は?』 そう思えるキッカケが僕だったらいいのにな。 片思い中に片思い ああ、どうしてこうも複雑なのか。 |