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YH:言えなかったコトバたち



あたしもう慣れたよ。
ユノがいないこの学校に。












『あ、もうっ!』



あたしのクラスは3年3組。去年ユノが使ってた教室であたしは勉強してる。隣りには仲良しの友香里がいるから寂しく、ない。



「またユノ先輩の写真見てるの?」
『返して!』
「飽きないね、知恵も」
『うるさいなー‥』



でもね、ぽっかり空いた穴はやっぱり塞げない。気が付けば手帳から卒業式の日に撮ったユノの写真を取り出して眺めてる自分がいる。



「にしても酷いよね」
『なにが?』
「知恵の顔」
『っ、ひどい!』
「いやいや、目ぱんぱんだし」



そりゃそうだよ。次の日からユノとは同じ学校に通えなくなるんだから。




あの日、遠くに行っちゃうユノにバイバイした日から自分からはメールも電話も出来なくて。ユノから来たメールもどこか素っ気なく返してしまう。

ただ、ただ、

ユノの足を引っ張りたくなかった。ただ、それだけ。



『っ、‥‥っ』
「ぇっ、知恵っ!?」



涙が勝手に溢れてきて。ごめんね、って謝る友香里だけど誰が悪いわけでもない。ただあたしが弱かっただけ。



「ごめん、知恵」



ああ、なんて最低なんだろうあたしってやつは。



『ぅぅん、ちが』
「ぁ、」
『、え?』



違うよ、って言おうとしたときだった。友香里が小さく言葉を漏らした。窓の外に向けられた目線を辿ると校門のところにひとつ人影。



「あれ、」
『‥‥‥ぅ、そ』



忘れるわけがない。スラッとしたシルエット。格好少し大人っぽくなっただけで他はなにも変わってない。



あたしは無我夢中で、走った。

走って、走って、走って。ギュッと握った手の中には、あの日に撮った写真がグシャリ。



にっこり笑うユノと、目がぱんぱんのあたし。










言えなかったコトバたち


好き、大好き、愛してる




あきゅろす。
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