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授業中。


「と、いうわけなのよ」

アレンと同居することとなったわけを語っていた私はなんだか切なくなって深いため息をついた。
それまで真剣に話を聞いていたリナリーと神田とラビは話が終わると同時に何とも言えない顔をして顔を見合わせ合う。
その反応に更に切なくなった私は授業中だといいことも忘れて思い切り机を叩いた。

「なんなのよ、可哀相だと思うならいっそはっきりそう言ってちょうだいよ!」

「お、落ち着くさ、小鳥」

「これが落ち着いていられる!?今日だってねぇ、あの白髪頭ったら私が焼いた魚を……」

「小鳥、悪いがそれ以上騒ぐなら教室を出て行ってくれねえかな」

そう言ったのは理科の先生であるリーバーだ。
ただ今理科の授業中だったことをすっかり失念していた小鳥は一瞬押し黙る。
しかし元々授業を殆ど聞かない体質だった小鳥は黙るのも一瞬、次のアレンの言葉にぶちギレた。

「そうですよ、小鳥。君の声が煩くて、授業に集中できません」

「誰のせいだと思ってんのよ!」

再びばんと机を叩いて小鳥は立ち上がる。
さも迷惑そうな視線を向けてくるアレンをきっと睨みつけた。
ちなみにアレンは私の二個前の席だ。その後ろがラビでその隣が神田、そして私の隣がリナリーと私たちは席が近いのである。
更には一番後ろの席を陣取っていたりもして、実はこれにはくじ引きの席替えをしたときに不正をしたというちょっとした物語があるのだがそれはひとまず置いといて。
私は席を立った。つかつかとアレンの席の前まで歩いて行き仁王立ちになる。

「ちょっと来なさいよ」

「嫌ですよめんどくさい」

「いいから来るの!ほら、はやく立って」

心底面倒臭そうな顔をするアレンを無理矢理椅子から立たせ、私はアレンを引っ張るようにして教室を出てた。
教室を出る間際に見えたのは呆れ顔をしたリナリーと神田とリーバー先生と、それから面白い玩具を見つけたような顔をして後をついて来るラビと唖然とした顔で私たちを見送るその他一般の生徒たちだ。
授業を中断させてしまったことを心の中で謝りながらも私は全ての怒りをアレンにぶつけた。

「小鳥、いい加減痛いです、離してください」

「嫌よ。離したら逃げるでしょ」

アレンの腕を握っていた手の力を少し緩めながらも私は決して彼の手を離さない。
離してなるもんか。今日こそは言いたいことを全てぶつけるのだとたどり着いた屋上の貯水タンクの横にアレンを座らせる。
その隣に自分も膝を着いて私は言った。

「ねえ、アレン。とりあえず私がつくった料理に文句を言うのをやめて。それから…」

「うるさい、暴力女」

「なんですって!だいたいあんたは私の扱い方が酷すぎるのよ」

「そりゃあ、暴言力女を丁寧に扱ってもしょうがないでしょう」

「暴力女で悪かったわね!ああ、もう何であんたはそんなに態度がでかいのよ」

「そりゃあ、居候と家主の関係ですから」

さも当然でしょうと肩を竦めるアレンに私は無言を返した。
ふつふつと沸き上がってくる怒りを必死で宥めながら私はゆらりと立ち上がる。
傍で私たちのやりとりを傍観していたラビを押し退けて私は屋上の出口に向かった。
扉に手をかけたところで肩越しに振り返る。ぎろりとアレンを睨みつけた。

「この、白髪頭!」

「あなたは餓鬼ですか」

自分でも餓鬼臭い発言だと思わなくもなかったけれど。
捨て台詞を吐くと同時に私は屋上から駆け出した。
屋上に乱暴に閉められた扉の音が響きわたる。
それまで無言だったラビが扉とアレンを交互に見ながら口を開いた。

「アレン、お前さ、小鳥に対してちょっと酷くね」

「いいんですあれで」

「でもなぁ、まさかお前小鳥のこと嫌いってわけじゃないよな」

ラビの言葉にアレンは目を丸くする。
その言葉は彼にとって予想外だったらしい。

「まさか。嫌いな人を家に置いたりしませんよ」

その言葉を小鳥に聞かせてやりたいとラビは心底思った。




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