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後悔。


リナリーとラビと神田とついでにアレンと、海に遊びに行っていた一週間はそりゃあ夢のように楽しかった。
そう、多少暑すぎたのは困りものだったがしかし、今の日々に比べたらあの日々は夢のように楽しかったのだ。
まさに天国!もう一度あの日々に戻りたい!
だなんて願望が叶うわけもなく八月の頭。私は現在アレンの家に住み込んでいる。
アレンの家は広い。通常の一軒家の三倍ほどの敷地をもつその家は、訪れた当初はこんな家に住めるなんてまさに夢のようだと思っていたのだ。
浮かれついでにそれまで住んでいたアパートを引き払って荷物を全部アレンの家に持ち込んで。
そして、それが間違いだったことに後から気づく。
なぜかというと、理由は全てアレンにある。
まず第一に、アレンは全く料理ができなかった。それなので必然的に料理全般は私が引き受けることとなった。そこまではいいのだ。
だがアレンは料理のひとつもつくれないくせに大ぐらいだ。それはもう尋常ではないほどに食べるのだからつくる側としては堪ったものではない。
私がいくらたくさんの料理をつくったとしてもそれは片っ端から消えていき、やっと落ち着いたかと思って自分の食事に取り掛かれば奴は私の目の前で今度はコンビニ弁当を食べはじめるのだ。
これにはさすがに温厚な私もぶちギレた。
以後、コンビニ弁当を食べることはなくなったのだがアレンへの不満はそれだけではない。
アレンは料理がつくれないだけでなく家事全般ができないのだ。いや、できないのではなくやろうとしない。少しも手伝ってはくれない。
奴いわく、

「居候の身なんだからちゃんと働いて下さい」

だそうだ。
これにはさすがに温厚な私もぶちギレそうになった。
が、確かに私は居候の身で、ついでに現在帰る場所もない。
そのことを思い出した私はぎりぎりのところで踏み止まることに成功した。
そして不満は他にもある。
アレンの家は禁煙なのだそうだ。
これには私も大変困ってしまった。
彼の家には灰皿がある。が、それはここの家の本当の主のものらしく、家の中で誰かが煙草を吸っているのを見るとその人のことを思い出してしまうらしいのだ。
つまりアレンはその人のことをあまり好いてはいない。
寧ろ思い出したくない様々なトラウマ事件があるらしく、とにかくこの家に住む以上は煙草は吸わせないとのことだった。
これには本当に困った。
早くも前に住んでいたボロアパートが恋しくなってきた私である。

「ねぇアレン、私帰ってもいいかな」

「どこにですか。あなたにはもう帰る家なんてないじゃないですか」

全くだ。
全くその通りなのである。


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あきゅろす。
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