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屋上。


そして季節は夏。
もうあと数日で夏休みがやってくるとある日のことだ。
いつものようにいつものメンバーで昼食を、つまりは屋上の隅っこでラビと神田と昼食をとっていた私は遅れてやってきたリナリーがが連れてきた人物に愕然とした。
加えていたおにぎりをぽりと口から落とす。
ちなみにリナリーは、今でこそ同じクラスなのだが一年生の時は違うクラスだったのであの冬の日におこった事件のことを知らない。
いや、たぶん知ってはいるが情報に疎いリナリーのことだ、きっと私が喧嘩をした相手が誰とまでは知らなかったのだろう。
そうだ。きっとそうに決まっている。そうでなかったら絶対にあの優しいリナリーがわざわざ満面の笑みを浮かべながら奴を此処に連れてくる筈はないのだから。
リナリー同様、顔ににこやかな笑みを貼付けて私たちの前に立ちはだかった白髪頭の少年に私は思いきり不機嫌そうな顔をしてみせた。

「…なんであんたが此処に居るのよ」

「何ですかいきなり。僕はリナリーに誘われて此処に昼食を食べにきただけですよ」

私はリナリーをじろりと睨みつける。
何でこんな奴を連れてきたのよと私が憤れば、リナリーはきょとんとした顔で私と白髪頭の少年を交互に見つめた。

「あれ?もしかして知り合いだったの?」

「知り合いも何も、二人は出会い頭から犬猿の仲さぁ」

横から口を挟んできたラビに、彼同様私と白髪頭の出会いを知っている神田は大きく賛同の意を示した。

「こいつら出会った瞬間から大喧嘩をしたんだぜ。全くあれはいい迷惑だった」

「まぁあれは完全に小鳥が悪かったと思うけどな」

「…しょうがないじゃない。だって私、あの時コイツが本当に雪を被ってるのかと思ってたのよ?」

びしりと白髪頭を指差しながら言えば奴は微笑みながら私にこう言った。

「コイツじゃなくてアレンです。…ああ、でも、正直な人は嫌いじゃないですよ」

裏でひそひそと陰口をたたく人よりはよっぽどましです。
と、さりげなく私の指差していたほうの手を掴みながらそう言うアレンに不覚にもドキリとしてしまったことは誰にも内緒、だ。


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