「ない…!」
教室に戻るとあたしが苦労して買った立海で1番人気のあるパンが綺麗になくなっていた。犯人はあたしの後ろの席の仁王雅治。口の横についている生クリームが何よりの証拠だあああ!
「におー!あたしがどれだけ苦労したかわかってんの!?」
「だってお前さんが戻ってくんのが遅いから悪いんじゃ」
「なんて理不尽な理由…!」
「ブンちゃんと俺どっちが大事なんじゃ?」
ムスッとした仁王の顔は可愛かった。いやいやそんなことじゃなくて、ってゆーか、たかが辞書を貸しにロッカーに行っただけじゃない、しかもほんの数分。それに仁王とブンちゃん、どっちが大事と聞かれてもどっちでもないんですが。
「仁王の鬼畜…」
「鬼畜?」
「何もあのパンを食べることないじゃんかぁ…」
「え、泣くほどか?」
しょうがないじゃん、パンひとつごときで涙を流すなんてみっともないかもだけど食べ物の恨みは怖いんだぞ!はあ、お腹すいた。
「しょうがなか、帰りに好きなもん奢っちゃる」
「やった!仁王やさしい!」
「さっき鬼畜とか言っとらんかったか?」
「え、誰よそんなこと仁王に言うなんて!」
「お前さん調子いいな」
鬼畜だなんて言ったのどの口?
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