('A`)は明日もいきていくようです。
第一話終了
102:◆Yqyp7Uc3Po
04/03(火) 21:04 Of4c7WvaO
しぃの左手の五本の指先では、手のひらから発せられた光に似た、淡い緑の光が小さく光っている。
(*゚ー゚)「こんなとこかな、私からの自己紹介」
指先の光を収めながら、しぃはパチンコ玉を赤い布にくるみ、箱の中に戻した。
そして、静かに立ち上がると何も言わずに部屋の奥に消えていった。
('A`)(やっぱり、自分が人じゃなくなるってやのかな………)
そう思っているドクオも今は人外の者だが、まだ自覚が薄いので、一般人側の目線で考えを運んでいた。
(´・ω・`)「さて、ドクオ君。キミはこれから我々と共に戦わなければならない。これはキミの家が吹っ飛ばされた時に決まってしまった運命だ」
突然喋りだしたショボンの目には真剣さが伺えた。更にショボンは続ける。
(´・ω・`)「ここでキミにショッキングな事実を教えよう」
これ以上何に驚けと言うのか。
ドクオはそろそろ心臓に悪いぞと思いながら、ショボンの次の言葉に備えて覚悟を決める。
(´・ω・`)「人間はね、飼われているんだよ。いつからかは分からないが、この地球と言うカゴの中で60億の人間を飼ってるヤツがいるんだよ」
(;'A`)「は?」
ドクオは、ショボンのあまりのぶっちゃけ話具合に間の抜けた声を漏らす。
106:◆Yqyp7Uc3Po
04/03(火) 22:41 Of4c7WvaO
(//∀゚)「俺の時と同じ反応すんなよ」
ジョルジュは笑っていたが、それどころではない。
(;'A`)「あー。今、凄い事聞いたような気がするんですけど?」
ドクオの言葉に反応してか、ショボンの目つきが変わる。悪い方に……
(´・ω・`)「やあ、ようこそバーボンハウスへ、とりあえずこの話は全部本当だから落ち着いて最後まで聞いて欲しい。うん、「やばい」んだ」
(;'A`)ξ゚听)ξ(さっきまでの真面目な目つきはどこへ行った?)
(´・ω・`)「…………すまない、カオスが乗り移ったみたいだ。話を続けよう」
ショボンは湯呑みを手に取り、口には運ばずにお茶に映る自分の顔を見る。
(´・ω・`)「5年前、人類にあるメッセージが送られてきた。その内容は近年の人口増加と、今後の人口増加によるこの星が受ける被害予想。もちろん誰が送ってきたかわからない。
ま、最初はこの謎のメッセージについて各国のお偉いさん等は秘密裏に話し合ったらしいけど、結局環境破壊などをなるべく抑えればいいって事で終わっちゃったんだ。一般市民には内緒にしてね」
ショボンの話を聞いているとその「各国のお偉いさん等」とやらが随分、楽観視しているように聞こえる。
107:◆Yqyp7Uc3Po
04/04(水) 00:27 67V/g13XO
ショボンは湯呑みの中身を口に流し込むと、空になったそれをテーブルにおく。
(´・ω・`)「それから一年後、乗組員4人を乗せた有人ロケット……まぁスペースシャトルが発射された。ニュースになったりしたからね、知ってるかな?
まぁ僕から言わしてもらうと、先進国の宇宙開発自慢にしかみえなかったけどね」
ショボンの言葉にツンは一瞬、ムッとする。
(´・ω・`)「そしてスペースシャトルが地球を飛び立ってから3日後、事件は起きた。順調にだったスペースシャトルとの交信が途絶えたんだ。
そして、連絡が途絶えてパニクってる地上にまた送り主不明のメッセージが届く。それが……」
ξ#゚听)ξ「ちょっと!話長いわよ!!!」
(;´・ω・)そ
(;'A`)そ
(;/∀゚)そ
突然のツンの乱入、ツンは目を擦りながらショボンに詰め寄る。
ξ#つ听)ξ「話が長いから眠くなっちゃったわよ!!」
(;/∀゚)(眠いなら自分の部屋いって寝ればいいにぃ……ま、本人にゃ言えないけど)
どうやらツンはショボンの話を聞いていて、瞼が重力に逆らえなくなってきたらしい。
そして機嫌がよろしくない。
(;´・ω・)「いや、まぁ、えーっと、これから大事な話になっていくトコだし、まだ僕の身分とか全然教えてないし、まず敵の正体とか、僕等の組織の目的とか……」
ξ#゚听)ξ「ゴチャゴチャうっさいわね??いろんな所握り潰すわよ?」
二つだけ今の状況を説明すると、ジョルジュとドクオは完全にビビっている。そしてツンはショボンの胸ぐらを掴んでいる。
(´;ω;`)「……」
ξ#゚听)ξ「泣くなっ!みっともない!」
大の大人が少女に胸ぐらを掴まれて泣いている。
第三者から見たら笑える話かもしれないが、その現場にいる者からしてみれば恐怖だ。
(;'A`)(寝起きが悪いって言うけど、この人場合なんて言うんだ?寝つきがわるい?)
(;/∀゚)(お前は別に話聞かなくてもいーんだから寝てれぇ)
ξ゚听)ξ「もう!わかったわ!!」
ショボンの胸ぐらをつかんだまま、突然、ツンはドクオの方を振り返り目を見開いた。
110:◆Yqyp7Uc3Po
04/04(水) 23:17 67V/g13XO
ツンは何を思いついたのだろうか、ショボンをソファーに捨てるとドクオの前に立つ、その立ち姿は某漫画に出てくる赤い汎用人型決戦兵器に乗る少女を思わせた。
ツンはドクオを見下ろしていたが、彼女の身長だと見上げるドクオの首が疲れないですむ。
ξ゚听)ξ「ショボンの説明は長ったるいからあたしが説明するわ! そのメッセージってのは地球は籠だったってことと、自分らは飼い主って事! あと人類への戦線布告!!
で! まず敵の正体、これはいろんな人がいろんな呼び方をしてる。
ある者は神と、ある者は宇宙人とか? ま、ある漫画じゃ情報統合思念体なんて呼ばれてるけど……案外まちがいじゃないかもね」
ツンの説明はショボンのように眠くはならなそうだが、とにかく早口だ。
(;'A`)(嗚呼、気を抜いたら聞き逃しそう)
ξ゚听)ξ「とりあえず、敵の呼び名なんかどうでもいいの、問題は敵の目的! それは無差別な人類の殲滅。あんたの家が吹っ飛んだのも無差別だから安心して!!」
何に安心するのかわからないが、最後まできこう。
ξ゚听)ξ「敵はスペースシャトルの乗組員四人を改造した。そしてその四人は人間を殺し、その人間を改造し人間を減らす兵を増やす。効率的ね!」
嫌味を込めた表情をして、鼻で溜め息をつくとドクオに顔を近づける。
ξ゚听)ξ「もう説明すんの面倒だから、あんたの聞きだい事言って!?」
(;'A`)(近い! 顔が近い)「え〜っと、じゃあこの組織の目的はその敵を倒して、人類の保護でいんですよね?」
111:◆Yqyp7Uc3Po
04/04(水) 23:23 67V/g13XO
(//∀゚)「半分正解……」
さっきまで静かだったジョルジュが口を開く。
(´・ω・`)「僕等も人間を減らす」
いつの間に泣きやんだのかショボンも喋りだす。ツンのマシンガントークに割ってはいる隙を伺っていたのだろうか……。
それよりも、今言った言葉はどういう事なのか、人間を減らす者を「敵」と呼び、自分たちも人間を減らすといった。
矛盾していないか?とドクオは思った。
それにジョルジュが半分正解といったが、その意味がよくわからない。
ξ゚听)ξ「矛盾してるって思ったでしょ?」
顔と顔の距離を離しながらツンは口の端を持ち上げる。その顔は本当に、例の赤い巨大ロボのパイロットが作る嫌な感じの表情を連想させた。
ξ゚听)ξ「確かに人間は殺す。でも奴らみたいに無差別じゃない。あたし達組織は人類にとっていらない人間、この星に悪影響を及ぼしてる馬鹿共から減らすのよ!」
(´・ω・`)「そりゃ、敵とも戦う、キミを襲った連中みたいな奴らともね」
ショボンの言葉で、ドクオの脳裏にあの三体の機械とも人間とも言えないモノ達がフラッシュバックした。
そしてツンの言葉で、ジョルジュの言った半分正解の意味も理解した。
('A`)「なるほど…要は、馬鹿な事やってる国を仕切ってる馬鹿共と、人間を飼ってる奴らを消すってのがこの組織の目的ですか」
(//∀゚)「ま、簡単に言うとそういうこったな」
ジョルジュは赤い髪を掻き、天井を見ながらソファーに背を預ける。
112:◆Yqyp7Uc3Po
04/04(水) 23:28 67V/g13XO
しかし、すぐ何か思いついたような顔をして身をのり出し、ドクオを見る。
ドクオはまだ何かサプライズがあるのかと思い、心臓の心配をした。
(//∀゚)「そういや、まだお前の自己紹介まだだな!?」
ξ゚听)ξ「ああ、そういえばまだね……」
ツンも納得したようにドクオを見る。
ドクオは少し拍子抜けしたが、心臓に負担がかからなかったので「なんだよ」って気持ちは華麗にスルーした。
(´・ω・`)「じゃあ…ドクオ君、自己紹介」(僕もまだなんだけど)
( 'A`)「あ、はい。ドクオっていいます。え〜っと血液型はA型、誕生日は12月1日で………」
ここでドクオはある事に気付く。
(;'A`)(あれ?他の人って、こんな自己紹介だったか?)「あのぉ、この右手……どんな力があるんですか?」
ドクオは自分の右手の手のひらを見ながら、独り言のように尋ねる。
ξ゚听)ξ(//∀゚)「へ?」
ツンとジョルジュは気の抜けた声を出す。
ドクオには二人言いたい事がよくわかった。自分の力も知らないのかって言いたいんだろう……全くもっておっしゃるとおりだ。
(´・ω・`)「あ……言うの忘れてたね。ごめんごめん」
ショボンは、頼まれていた大した事無い用事を忘れてしまった時のような軽い謝罪をしたが、次の一言はドクオだけではなくジョルジュ、ツンにもサプライズを起こした。
117:◆Yqyp7Uc3Po
04/18(水) 22:11 6TgjHV07O
(´・ω・`)「実はさぁ、ドクオ君の右腕……何もついていないんだよね」
さらりと言い切ったショボン。しかしツンもジョルジュも………もちろんドクオも呆気にとられた表情をしている。
(;´・ω・)「……え?何?」
(;/∀゚)「いや! 何?じゃねぇよ!! 俺はてっきりしぃばりの能力があんのかと思ったよ!?」
ξ;゚听)ξ「あたしも…」
余す事なく突っ込みを繰り出すジョルジュとツン、ジョルジュに至っては敬語も忘れている。
そして、突っ込みに参加していなかったドクオは放心状態である。口を2センチ程開けたままで、生気の抜けた目はショボンの方を向いていたが焦点が合っていない。
その様子を見て、焦ったようにショボンがドクオに声をかける。
(;´・ω・)「ド、ドクオ君!? そんな落ち込む事じゃないよ!? 武器だってあるんだから安心して!!」
(;/∀゚)「そうだぞ! お前、俺なんか目と耳と鼻がいいだけで、他は何も無いからよ!!」(ま、実はあるけど…)
ξ;゚听)ξ「そうよ! 何もないわよコイツ!!」(あたしは丸腰で強いけど…)
118:◆Yqyp7Uc3Po
04/18(水) 22:12 6TgjHV07O
ショボンに便乗し、ツンとジョルジュがドクオを励ます。それからは三人でドクオを立ち直らせようと言葉をかけたが、ドクオの反応は溜め息ついでに出るような声しかしなかった為、しばらく部屋には沈黙が流れた。
そして、ショボンがほどなくして「今日は解散でいい?」の一声により各自、自室へと戻っていった。
ドクオは自室に戻るとまっすぐベッドに向かい、瞼を閉じて今までの出来事を振り返った。
右腕を失くした事
家族がもういない事
自分に力が無い事
次々と頭に浮かんではくるものの、気持ちが沈んでいる為か意識の隅を通り過ぎて行くだけだった。
そして解散後、「明日は朝から訓練やるぞ」と言ったジョルジュの台詞を頭の中に響かせたまま、ドクオは慣れない匂いのついた布団の中で眠りについた………
第一話終了
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