[携帯モード] [URL送信]




『織姫と彦星は良いよね』

夏の夜。
彼女は風車の下で空を見上げて言った。

『なんで?』

少年は聞いた。

『だって、一年に一回しか逢えないけど、ずっと、永遠に逢い続けれるんだよ?羨ましいよ…』

少年は彼女を抱きしめた。
そうしなければいけないと思った。

『私だって、ずっとずっと逢いたいよ』

彼女は泣いた。

『逢えるから。絶対絶対逢いに行くから』

少年はそれしか言えなかった。それだけ言って少年も泣いた。













―――そして。

少年は今、風車の下で星空の下、一人空を見上げている。

毎年。この日。
彼女が泣いて笑った。
二人の想いと想いが繋がった夏の夜。

彼女の笑顔を想っていた。

『今年も逢いに来たぞ』

空へ語りかけるように言う。

『ずっとずっと忘れないから』

星空に手を伸ばす。

『いつかちゃんと逢いに行くから』

空を掴む。

『だからそっちでも笑ってろよ』

そして、笑った。
やっぱり涙は堪えれなかったけれど、少年は精一杯笑った。


ありがと…待ってるよ!


彼女がそう笑った気がした。


少年は歩き出した。
風車はあの頃から何も変わらず回り続けている。
ずっと。ずっと…。
廻り続ける。





――Ein Ende

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!