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白い部屋。
彼女は精一杯笑った。
忘れないでね。
願いを込めて。
幸せになってね。
祈りを込めて。
今までで一番綺麗な笑顔で笑った。
少年も溢れる涙を堪えることができないまま、一生懸命笑った。
繋いだ手から少しずつ温もりが冷めていき、消えた。
彼女の命が消えたことを現実のものとして突きつけられた。
それは少年が初めて目にした死。
初めて知った、大切の人を喪う哀しみ。
少年はひたすら泣いた。
世界も運命も何もかもを呪った。
救えなかった自分さえ、呪った。
それが何にもならないのは分かっても、そうせずにはいられなかった。
何度も死のうと思った。
死のうと思う度に、脳裏に浮かぶ彼女の笑顔が、彼女の祈りが少年を踏み止まらせた。
そして、少年は少しずつだけど、前を見るようになっていった。
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