◆君がいたひだまりの中で
明るく穏やかに太陽の光が照らす。
人のいない、寂れた寺。
その軒先。
新芽が芽吹くある春の昼。
木々の芽を吹き始めた枝と枝の隙間から降注ぐ光が作る、板張りの床の上のひだまり。
都会の喧騒も子供たちの声も聞こえない、静かな静かな温かな場所。
僕と君が過ごしたひだまり。
今は僕しかいない。
君は死んじゃったから。
ひだまりは大きくないし広くもないけど…
今はなんだか広く感じるや。
君のせいだよ。今日も僕はここで丸くなる。
君はもういない。
体は温かいんだけど…
なんだか寒いや。
君のせいだからね。
何も知らない太陽に温められて、その心地好さに眠りにつくと、君はいつも笑顔でそこにいる。
もういないはずなのに、君はいつもひだまりの中で笑ってる。
笑って、体を寄せてきて、丸くなるとすやすや眠る。
夢の中だけど、僕は同じひだまりの中にいて、いないはずの君がいて…
前みたく一緒に眠る。
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