８
女の子は空を見上げました。
それはどこか懐かしく、そこはとても近く感じました。
『またね』
『うん。またね』
女の子は振り返って、男の子に手を振りました。
男の子も女の子に手を振りました。
chi chi chi...
chi chi chi...
chi chi chi...
傷は癒えたよ
ここも温かかったよ
冷たいのは
気のせいだったよ
とても
優しいところだったよ
大切なモノが増えたよ
涙は流し終わったよ
そうしたらまた笑えたよ
わたしはまた
あなたに逢えるよ
逢いにいけるよ
待っててね
今いくから
約束だよ
待っててね
絶対いくから
今いくから
chi chi chi...
chi chi chi...
chi chi chi...
女の子は空を見上げた。
空は変わらずどこまでも澄みわたり、女の子へ微笑んでいた。
女の子は羽ばたいた。
地に、男の子に束の間の別れを告げ、仲間の元へ飛び立った。
女の子は笑った。
『ただいま』
――ＥＮＤ――
此れは傷付いた小鳥と優しい黒猫の物語。
2009/05/20
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