４
真っ暗な真っ暗な世界。
女の子はキョロキョロと辺りを見回しました。
真っ白だった村はありませんでした。
女の子は首を傾げ、またキョロキョロと辺りを見回しました。
やはり、村はありません。
真っ黒な闇があるだけでした。
女の子は上を見上げました。
とたんに、女の子は大粒の涙を流しました。
とうに枯れ果てたはずなのに、涙は自然に流れ落ち、どこかへ消えていきました。
そこには、空がありませんでした。
世界を照らす太陽の光も、どこへともなく流れる雲も、何一つありませんでした。
あるのは真っ黒な闇だけ。
そこに、女の子がぽつんといるだけでした。
chi chi chi...
chi chi chi...
chi chi chi...
あなたがいない
どこにもいない
私はどこへ行けばいい
私は誰を見ればいい
わからない
何もわからない
あなたはどこ
わたしはどこ
chi chi chi...
chi chi chi...
chi chi chi...
女の子は泣きました。
ずっと、ずっと泣きました。
誰も気づいてはくれません。
誰もいないのです。
もとより、女の子には誰も必要なかったのです。
ただ空だけがあればいい。
なのに、ここには女の子だけ。
空さえもありません。
女の子は泣きました。
上を向かず。うつむいて、ひたすら泣きました。
そのうち、また、目の前が暗くなりました。
真っ暗な闇しか見えないのに、また真っ黒なモノが視界を埋めつくしました。
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