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 chi chi chi...

 chi chi chi...

 chi chi chi...


 そこには空があって
 陽の光は輝いて
 雲は流れて
 どこまでも澄みわたる
 綺麗な世界が広がってる

 汚れた地に堕ちた
 私はただ謳うだけ
 汚れた私は
 ただ憧れ見上げるだけ


 chi chi chi...

 chi chi chi...

 chi chi chi...


 来る日も来る日も女の子は動かず、空を見上げていました。

 涙はとうに枯れ果て、その身体は雪で覆われていました。

 初めの内は冷たさに凍え、震えていた女の子も、今では何も感じなくなっていました。
 痛みも感じなくなっていました。

 ただ空だけを見ていました。
 そこに何があるわけでもありません。
 誰かがいるわけでもありません。
 しかし、女の子はずっと、空だけを見ていました。


 何があるのかは女の子にしかわかりません。
 女の子には誰も気づきません。

 だから、それは女の子だけが分かることなのでした。


 chi chi chi...

 chi chi chi...

 chi chi chi...

 私はここだよ
 ここにいるよ

 あなたはいないよ
 あなたは遠いよ

 逢いたいよ
 いけないよ

 痛くて
 動けないの

 だから
 あなたのとこまで
 いけないよ

 それにね

 私はもう
 眠くて眠くて
 しょうがないよ

 疲れちゃった

 あなたに
 逢いにいけそうにないよ

 chi chi chi...

 chi chi chi...

 chi chi chi...



  女の子は空を見上げることができなくなりました。
 それは突然降りた真っ暗な夜の帳。

 空は変わらず澄み渡っているのに、女の子には空が見えなくなりました。

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