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女の子に気づく村人は誰もいません。
誰もが自分のことで精一杯で女の子が目に入りません。
女の子の瞳から涙がこぼれても誰も気づくことはありません。
か細い声が女の子が泣いていることを表に出しているというのに、やはり誰も気づきません。
まるで、女の子など何処にもいないと言わんばかりです。
女の子は傷ついていました。
大切な腕を傷つけ、そのことで自分の中の大切なモノも傷つけていました。
涙は止まりませんでした。
傷ついた腕を傷ついていない腕で抑え、泣き続けていました。
だけど、自分の中のモノはどうにもできませんでした。
痛くても辛くても、どうにもできません。
腕だって届きません。
何もできないのが苦しくてたまりません。
泣くことしかできません。
なのに、女の子は俯くことはなく、ずっと空を見上げていました。
そこには雲と太陽しかないのに、女の子は真っ赤な瞳でじっと空を見続けていました。
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