◆地を這う孤鳥
ある雪の日。
あるところに、真っ白な雪化粧に包まれた小さな小さな村がありました。
村人達は朝早くから暖炉に薪をくべたり、その薪を補充するために小屋へ行ったり、明日迎える新年に向けた、家の外や中の掃除や飾り付けに慌ただしく動き回っていました。
それはさながら師走本来の意味に違わない光景でした。
普段閑散としていて、行き交う人々が少ない路地も、今日ばかりは多くの人々が行ったり来たりを繰り返し、いつもなら足跡の少ない雪の積もった道も足跡が分からないくらい、固まっていました。
そんな、慌ただしい空気で満ちた道の片隅で、女の子が、空をじっと見上げていました。
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