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天狗の面(日記より/政小)
天狗仮面をやって以来どうも政宗様の様子が可笑しい。何か良からぬ事を企んでいる気がする。どうせあの主の事だ、考えていることは簡単に想像が付くのだが…分かりたくねェ。

「小十郎、今日の夜なんだが…」

「申し訳ありません、未だ片付かぬ政務があり伺うことは難しいかと」

「そうか…」

どうやらその場凌ぎの嘘が通じた様だ。こうも簡単に理解してくれるとは思わなかったが、政宗様も一応俺の身体を気遣ってくれているのだろう。嘘に対しての罪悪感は少なからずあるが、ここ数日の忙しさで疲労したこの身体には今の政宗様が望むことを受け入れてやれる程、体力が残っていない。

「この償いは後日…」

去っていく主の背を目に小さく呟くと自室に戻り、僅かに残っている仕事を終わらせてしまうことにした。


―――数刻後


「よし、これで終いだ」

最後の一筆を入れ終えると凝り固まった身体を伸ばし、早々に就寝の支度をする。漸く政務からも解放されて久し振りに安眠ができる、そう思ったのも束の間のことだ。障子に浮かび上がる人影。嫌な予感しかしない。

「小十郎、入っても良いか?」

嗚呼、何故このお方は。俺の身体の限界を分かって下さったのではなかったのか。物凄く断りの一言を入れたい。安らかな眠りに就きたい。だが拒否したところで、勝手に入ってくるのは目に見えている。下手に断れば後々厄介な事に成りかねないことも。

「…どうぞ」

「忙しいみたいだから手伝いに来てやったぜ」

障子が開かれれば、隔たりが無くなったことで主の姿がくっきりと視界に飛び込んでくる。それと同時に呆れて物が言えなくなった。何処の世界に天狗の面を片手に仕事を手伝いに来る奴が存在するのだろうか。頭が痛ェ。

「政宗様、今日だけは勘弁願いたい…」

「Ha!主を謀る様な家臣の言う事なんざ聞けねぇな。お仕置きだ」

「…政宗様っ!」

その後、俺の身体が休まることはなく朝を迎えた。





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どうしても天狗ネタを消化しておきたかったんだと思う。


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