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その勝負待った!
○●

皐月の言葉通りに亮が急いで部屋に戻ると、皐月はまだ料理中だった。
良かった、間に合った。亮の分の飯を確保だ。

バスルームに向かう途中、すれ違いざまに縁にシュワッチ! と身構えられた。
何だそれは。縁はウルトラマンっ子だったのか。残念だな。亮はゴレンジャー派だ。
亮は一体何星人に認定されているのだろう。


ああ。

縁は昨晩のことを意識しているのか。

よしよし。


亮も縁に色気を意識した笑みで返しておく。
だが、縁の頬がじんわり赤くなったので普通に声を出して笑ってしまった。
お色気を演出するのも難しいな。


「亮、お前汗くせぇからさっさとシャワー浴びて来い」

男の汗くらいで皐月は。女子かよ。

「んー」


そういや、元女の亮が言えることじゃなかったな。



シャワーを浴びてすっきりしたところで、タオルを肩にかけて半裸でリビングに戻る。
もう亮はシャワー後は半裸族になったと言えるだろう。

リビングには朝ごはんのいいにおいがする。今日は肉系か。ウィンナーがあるといい。
キッチンの方を見ようとして、何気なく目の合った縁が顔を赤くして、急いで手に持っていた書類に目を戻した。
思い出し照れか。意外に初々しい縁が可愛い。ああ、和む。

「あ、亮! お、お前……!!

目を見開いてこちらをみる皐月。
どした、そんな大きい声だして。

手に握っていたエプロンを落とした皐月が亮に寄って来る。

「さすがBL!!」

と言って亮の胸や腹をぺたぺたと触ってきた。

腐顔で感動している、皐月。またこれか。
亮の何がBLなのかが分からないが、亮の裸体に喜んでいる皐月。ちょっとの遠慮なく触って来る。

だが、あまり擦られると亮もむずむずしてくる。その、きらきらした目もクる。
我慢できずに皐月を亮の腕の中に抱きこむ。

「ぅぐっ!」

うん。これは亮の腕が勝手に動いたんだ。亮の意志とは関係なく。
やっぱり皐月は華奢だ。包み込めるコンパクトさが気持ちいい。

首元に顔を近づけると皐月のにおいがする。美味しそう。
耳の下辺りをちゅうぅっと吸った。

「ッ!」

何も出てこなかった。残念。


ドスッ!!


「う゛っ!!」

腹に強い衝撃が来た。こ、これは……

ボディブロー!!


思わず皐月から一歩下がり、体が固まってしまう。
ちょっとスクリューが入っていた。皮膚もねじれて痛かった。

き、きっつ。手法を変えたな、皐月も。

亮、ダウン。


「おら、さっさと飯にすんぞ」

赤い顔をしていた皐月がキッチンの方へと戻って行った。


「やーい、ざまみろぉ〜!」

楽しげに亮を見下ろす縁、うざい。
スキップしながら縁が皐月の手伝いに行く。


うぅう゛〜〜〜〜ん。
しばらく腹の痛みは消えそうにもない。



朝飯の間もずきずき痛みを伴いながらウインナーを味わうことになった。
皐月と縁がこちらをニヤニヤしながらだったが、腐顔っぽい顔をしていたのは気のせいか。


ともあれ、縁が普段通りに戻ったので、めでたしとしようか。





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あきゅろす。
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