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君がいるから

黒子がバスケ部と分かってから一週間が経った。あれから何となく話しかけにくて、黒子とはずっと話せずにいる。
…バスケ部、か。


帝光一の勝利成績を持つバスケ部は断然競争率も高くて、入ろうかと悩んだこともあった。けど、どうにも気に入らない奴がいて悩むことすらやめた。
「黄瀬君」
後ろから肩を叩かれて我にかえる。一週間ぶりに聞いた抑揚の少ない声はまったく変わることなく耳に滑り込んだ。何、とも聞き返せない、何て臆病。
「黄瀬君?前、当てられてます」
黒子が指差した方を見ると確かに当てられていて、教師が見ていた。当てられた問題を凝視したとしても、分からないものは分からない。
わかりません、そう呟いて授業のチャイムが鳴り響いた。
「黄瀬君、どうかしたんですか?」
「…なんで、」

ぼそり、呟いた。聞き取れないのか、黒子が目を細める。

「なんで、一週間話しかけてくんないの」

黒子が驚いたのが視界の端にうつる。いや多分、それ以上に俺自身が酷く動揺していた。ドッドッドッと力強く打ちつける俺の心臓に落ち着け、と言い聞かせても一向に変わる様子はない。それどころか信じられないくらい速くなっていって、全身が熱い。羞恥で死んでしまいそうだ。
何か、喋らないと。いや、何か喋ってくれ、黒子。
願いを込めた目を黒子に向けると、黒子は驚いた様子から既にいつもの平然とした顔に戻っていた。何だよ、それ。

「だって、黄瀬君から話しかけてこなかったですし。僕から話しかける必要も特になかったので話しかけなかったんですが…」

力が抜けた。何だよ、それ。
つまり、俺ひとりが、勝手に距離作って、壁があったって勘違いして、勝手にイライラしてたって?…俺、超まぬけじゃん。
そんなこと考えたら、体中の熱さがひいた。

「…黒子、これから俺、毎日話しかけるから!黒子も絶対毎日話聞いてね!」
「何ですかそれ…、…いいですよ、どうせ僕も黄瀬君と話せなかった一週間、どこか寂しかったですから」

ドキリ、何でもない一言に胸が高鳴った、っておい落ち着け俺相手は男だぞ
自分に言い聞かせながら、まあ、今はそれでもいっかなんて気楽に考える俺がいた。黒子とまた、話ができるなら。



君がいるから
(俺は笑えるんだ)
(馬鹿みたいな話だけど。)



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