春、入学、君との出会い
「…帝光中か…」
入学して一週間が経った。それなりに落ち着いてきて、小学校とは違い強く意識させられる先輩後輩という関係に少しだけ驚きながらも、何とか毎日が過ぎていった。
最近では見学や仮入部が始まっていて、俺は一応すべての部活を見て回り、興味のある部活に仮入部する、つもりなんだけど。
(帝光中、か…)
帝光中の部活は確か、野球部や陸上部とか、運動部が強かったハズ。
手には部活紹介の紙。活動内容や顧問の名前、定員まで書いてある。
(無難に野球かサッカーにでもしようかな…。)
どうせ本気でやるなら競争率が高い方がいい。
しかし帝光中は生徒も多い上、人気のある部活は大会で必ずと言っていいほど記録を残すもんだから、大概同じくらいの人数が集中していた。
仕方ない、と溜め息を吐き後ろの席にいる男子に声をかけた。
「ねえ…、えっと、黒子…だっけ?黒子って部活どこ入る?」
「…貴方に言う必要って、ありませんよね。」
「…は…?」
「すいません、本返しに行きたいので失礼します。」
随分無愛想な奴だ。第一印象はまさにそれだった。
春、入学、君との出会い
(…変なやつ…)
(でも、何か、)
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